安倍晋三は死に体モードに入ったか?

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一時は破竹の勢いを誇り、自民党総裁三選も間違いなしと思われていた安倍晋三が、ここに来て急速に勢いを失ったばかりか、破滅に向かって進み始めたような印象を与える。最近のNNNの世論調査で支持率が20パーセント台になったのがそれに拍車をかけて、小泉前首相などは安倍の三選はないばかりか、安倍政権は長くはもたない。早ければ今国会の終了とともに終わりになるだろうと言った。それに呼応する形で、自民党内には安倍後をにらんだ駆け引きが本格化してきた。そういう光景を見せられると、安倍政権の終焉もあながち夢ではないと思わされる。

安倍晋三のつまずきの石になったのは、いうまでもなく一連のスキャンダルだ。いわゆるもりかけ問題では、安倍晋三自身がそのプレーヤーとして疑われるようになっている。にもかかわらず本人は知らず存ぜぬを言い続けているので、国民はそんな安倍晋三に対して、一個の人間として不信感を抱くようになっている。これに加えて自衛隊の日報問題とか、財務事務次官のセックスハラスメントがくわわり、政権は燃え上がる火を消し止めることをできないでいる。財務省のスキャンダルのトップである麻生財務大臣などは、責任を放棄して海外に逃避するありさまだ。

一方、政策の面でもあまり明るい材料はない。アベノミクスの破綻が公然と指摘されるようになったし、対米関係においてもぎくしゃくとしたところが目立ち、また北朝鮮をめぐる外交面では、日本はその動きからひとり取り残されたような印象を内外に振りまいている。頼みのトランプも、今回の安倍晋三との会談では、強硬な態度が目に立ち、安倍晋三の弱みにつけいってやろうという態度を公然と示した。ひとつだけ、いわゆる拉致問題に協力してやろうと言って、安倍晋三に土産を持たせた形だが、この問題は基本的には日朝の二国間問題なので、アメリカがどこまでつきあってくれるかは心許ない。

そんなわけで安倍晋三をめぐる政治情勢は非常に具合が悪いのである。日本のメディアはまだまだ安倍晋三に遠慮した言い方をしているが、海外ではすでにレームダック視するものも多く現れている。安倍政権は既に死に体モードに入ったというわけである。

それにしてもこうなるとは、つい最近まで国内ではほとんどの人が思っていなかったのではないか。そうなってしまったことの主な理由は、安倍政権と安倍晋三自身に危機意識がかけていたことだろう。ここまで深刻な危機に面して、それを危機として受け止められない、その政治的な鈍感さが彼らを窮地に追い込んだと言える。そのまた理由は、彼らが権力の上にあぐらを書いて、被治者を軽く見過ぎていたことにあると思う。





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