岸田首相はダーティなタカか?

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「クリーンなタカよりダーティなハトのほうがまし」という言葉が、一時メディア界ではやったことがあると聞いたことがある。おそらく田中角栄のような政治家を念頭においたものだと思う。田中角栄は、とかくダーティなイメージがつきまとっていたが、国際関係をめぐっては、平和主義者であって、中国との和解をすすめるなど、国際協調の精神も感じさせた。

そのひそみに倣って今の岸田首相のやり方を見ていると、どうも「ダーティなタカ」というイメージを感じさせられる。閣僚たちがあいついで不祥事を起こしただけでなく、岸田首相本人も政治資金をめぐる不透明な行為を週刊誌に取り上げられている。一方、国際関係については、たとえば日中関係を緊張させたり、防衛面では、専守防衛という長年の日本の国是を捨てて、攻撃能力の強化という名目で、好戦的な方向を目指そうとしているように見える。

岸田首相の好戦性の象徴は、防衛予算の倍増を目指していることだ。これには、ウクライナ戦争などをきっかけとして、世界的な規模での軍拡の傾向が歴然としてあり、日本もそれに乗っかっているという面もあるが、それにとどまらず、日本の国内にあった軍事主義的な勢力がそれを後押しし、その後押しを岸田首相自ら先導しているフシも見られる。

岸田首相のめざしている防衛力の強化とか先制攻撃能力の強化は、一応北朝鮮の挑発を名目にしているが、本音が対中関係にあることはミエミエである。岸田首相は、尖閣をめぐる日中関係の緊張を対中強硬政策の理由にしているが、いわゆる台湾有事も視野に入っているようである。台湾問題は、アメリカも重視しており、中国による台湾の併合の試みには、それが武力的であるか、非武力的であるかを問わず許さないといった姿勢をとっている。しかし、台湾有事の際にアメリカが中国と直接武力衝突に踏み切るとは考えにくい。おそらくウクライナ戦争の教訓を踏まえて、台湾に大規模な武力援助を行い、台湾住民を中国軍と戦わせる戦略に出ると思われる。その場合、台湾住民だけでは間に合わない事態になれば、日本にその穴埋めを求めてくることは十分考えられる。そうしたケースに岸田首相が直面したら、その機に乗じて、対中戦争に踏み切らないとも限らない。

いまの岸田首相の言動を見ていると、どうもそんな心配をさせられる。岸田首相にはハト派のイメージがあっただけに、「ダーティなタカ」への変貌は想定外に映る。





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