防衛予算倍増で米軍需産業を潤す

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かつてトランプが大統領だった時に、日本を含めた同盟国に防衛予算の大幅増加を要請したのは、アメリカの負担軽減という意味合いもあったが、もっと露骨にいうと、増加した防衛予算で米軍需産業への注文を増やし,米国経済を潤したいという意向が働いていたと考えられる。その際、日本は聞こえないふりをして、トランプの要請にストレートに応えようとはしなかったものだ。

ところが、今般のウクライナ戦争に乗じる形で、NATO諸国が軍事予算の大幅な拡大に踏み切った。それに乗る形で、日本の岸田政権も、防衛費の大幅増大をたくらんでいる。しかも、国会の議論はじめ国民的な議論をパスするばかりか、増加する予算の財政的な裏付けも考えていないようだ。財政措置は国債で賄えばよいと思っているらしい。こんな無責任なことはない。

もっとも驚かされたのは、防衛予算の大幅増加を前提にしたとしか思えないようなことがさっそくたくらまれている。防衛省が米軍需企業に対して、攻撃型ミサイル・トマホークを大量発注する意向を示したのだ。これはいま世間を騒がせている敵基地攻撃プランの一環といわれており、中国を仮想敵国とした動きと思われる。こんな重大な事柄が、国民的な議論を抜きにして暴走するようでは、我々ふつうの日本人はうかうか寝てもいられない。こんな調子では、ある朝、目が覚めたら、戦争が始まっていたということになりかねない。

安倍政権が好戦的だったことは間違いないが、それでも国民を安全保障についての議論に巻き込み、国民の高い自覚を求めながら、国の方向を決めていきたいという姿勢は感じさせた。ところが岸田政権には、そうした姿勢は感じられない。自分の考えを、上から強権的に押し付けて、国民をいやがおうにも従わせるといった姿勢が感じられる。

ともあれ、増大させた防衛予算で、もっぱらアメリカの軍需産業を潤すというのは、国民として到底納得できるものではない。対米従属もこれに極まれりといった、情けない事態である。





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