
「独楽を回す少年(Garçon avec un haut)」と題したこの作品も、「トランプの城」同様に、肖像画的な風俗画とも、風俗画的な肖像画ともとれるものである。やはり、一人で遊びに夢中になる少年を描いている。
おしゃれな服装や髪飾りでめかしこんだ少年が、机の上で独楽を回して楽しんでいる。机の上には、インク壺や本が置かれ、また開きかけの引き出しからは文房具のようなものがのぞいていることから、これが少年の勉強机であるとわかる。この少年は、勉強を一時中断して独楽まわしに興じているのであろう。
全体的に地味な色調のなかから、少年の肌の赤みが命のリズムを感じさせる。
(1735年 カンバスに油彩 73×56㎝ パリ、ルーヴル美術館)
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