
「サン・クルー公園の祭り(La Fête à Saint-Cloud)」と題されたこの絵は、フラゴナールの風景画の傑作。単なる風景画ではなく、お祭りの様子を加えた風俗画としての要素も併せ持っている。
サン・クルー公園は、ブーローニュの森の南にあり、毎年九月の日曜日にお祭りが催されていた。この絵はそのお祭りの様子を描いたものだが、人物が極力小さく表現され、それと対比して、公園の自然の雄大さが協調されている。この公園は、ヴァルサイユのようなフランス式ではなく、自然らしさを強調したイギリス式であり、当時流行していたという。
画面左下にはパレードが、右下には人形劇の様子が描かれている。いずれも人物は小さい、それに比べて背景にある噴水などは、不釣り合いなほど大きく描かれている。
なお、この絵は、フランス銀行の建物の一郭を飾っている。フランス銀行になる前の所有者が注文したものだが、いまでもフランス銀行の食堂の壁を飾っている。
(1778頃 カンバスに油彩 216×335㎝ パリ、フランス銀行)
コメントする