日米一体で中国を叩く:岸田政権の対中敵視政策の深まり

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このところ、岸田政権が中国を仮想敵国とみなすような動きを強めている。今年はG7主催国という立場でもあり、G7諸国に向かって対中連携を呼びかける動きをしているし、また、バイデン米大統領との会談では、中国を意識して、軍事力を飛躍的に拡大させたうえで、その軍事力でもって米軍と協力し、日米一体となって中国を叩く姿勢を見せた。それに対してバイデンは大いに満足の意を表したということだ。

アメリカでは、近いうちに米中対立が起こると予見する動きが支配的だそうだ。有力なシンクタンクCSISは、2026年にも台湾をめぐって米中戦争が起こると予想している。その場合にありうるケースについて、いくつかシミュレーションを実施しているが、もっともありうるのは、米日台が一体となって中国と闘い勝利するというものだった。要するにアメリカは、米中戦争において、日本を欠かせないパートナーと見ているわけだ。

このシミュレーションでは、アメリカが主要な戦争国になって、日本はそれに脇から貢献するということになっている。具体的には、日本の国土内で米軍を自由に行動させるというものである。日本の自衛隊が正面から中国攻撃に加わる事態までは想定していないようである。

しかし、それはかなり控えめな予測というべきだろう。今般のウクライナ戦争での教訓を踏まえて、アメリカは、台湾をめぐる紛争でも、自ら直接戦争に乗り出すのではなく、とりあえずは台湾軍をけしかけて中国軍と戦争させ、アメリカはそれに最大の軍事援助をするという道をえらぶのではないか。また、日本については、単に台湾への軍事援助にとどまらず、自ら戦争当事国として、対中戦争に乗り出すよう求めるのではないか。

そうした求めに岸田政権はどう答えるつもりか。おそらく、アメリカと別に、日本が単独で対中戦争に踏み切る事態までは想定していないだろう。あくまでも、アメリカの対中戦争を前提にして、それに乗っかる形で自衛隊を使うということを考えているのではないか。それですめばいいが、すまなければ台湾とともに対中戦争を戦うということになろう。だが、台湾が対中戦争を決意するかどうかは、また別の問題である。ところが今の日米の台湾政策をみていると、当事者である台湾の意向を全く無視しているかのようにうつる。

こうした日本の動きに対して、中国も神経を使うようになった。いままで中国は日本を、アメリカの属国としてとらえ、たいした関心を払ってきたわけではなかった。日米同盟は、潜在的には対中軍事同盟の要素をもっているのだが、中国がそれをあまり問題視してこなかったのは、日米同盟によって、日本の跳ね上がり行為が抑制されると考えたためだ。だが、最近の日本は、日米同盟の枠を超えて、独自に対中強硬政策を追求するようになった。そこに中国は、日本を、それ自体として自国への脅威としてとらえる動機を感じるようになった。要するに岸田政権は、日中対立を本格的なフェーズにひきあげているのである。

かつては、中国とアメリカが協力して対日戦争を戦い勝利した。日本にとっては最悪の負け方だった。単独で複数の国を相手に戦うことには相当な無理がある。今回は逆に、日本はアメリカやアメリカの友好国とともに、中国を相手に戦うことが可能である。とくにアメリカとは、軍事同盟国として、一体となって戦うことができる。たとえ中国が大国であっても、日米を中核とした西側諸国と全面対決することには無理があろう。それを岸田政権は抑止力と考えているようだ。だが、それには全くリスクがないわけではない。





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