フェルナンド・サーカスのララ嬢:ドガの風俗画

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フェルナンド・サーカスは、1875年に結成されたサーカス。ユニークな建築物が人気を集めたという。ドガはその近代的な建築が気に入って、それを見るためにも足しげく通ったという。「フェルナンド・サーカスのララ嬢(Mademoiselle La La au cirque Fernando)」と題されたこの絵は、建築空間を表現しながら、それに女曲芸師の躍動的な姿を組み合わせたものである。

このサーカスは、モンマルトルに近いとあって、モンマルトルを根城にしていた画家たちがよく通った。ドガもその一人だったわけだが、後に、トゥールーズ=ロートレック、オーギュスト・ルノワール、ジョルジュ・スーラといった画家たちが、このサーカスをテーマにした作品を描いている。スーラの「サーカス」は特に有名だ。

ララ嬢は、浅黒い肌の女性で、空中アクロバットが得意だった。この絵の中の彼女は、口でロープの端をくわえ、顎の力だけで自分の体重をささえながら、しかも身体をしならせるなど、苛酷な演技をしている。ドガは、踊り子を描いたときと同様、人間を静的に描くよりも、ダイナミックに動いている姿を描くのが好きだったのである。

(1879年 カンバスに油彩 117×77㎝ ロンドン、ナショナル・ギャラリー)





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