とめどなく緩む財政規律:国債依存を強める岸田政権

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岸田政権が、新たな財源として国債を発行する決定をしたという。この国債は、一応、脱炭素のための環境対策に使うと言っているが、EUで実施されているグリーン債とは異なり、火力発電や原発関連にも使われるという。だからその名称を、EUのような「環境債」ではなく、「移行債」とするそうだ。

発行枠は年間二十兆円というから、これは「環境対策」に特化したものではなく、もっと包括的な財源確保だといわれてもしかたがないだろう。要するに「環境対策」に便乗して、新たな財源確保を狙ったとしか受け取れない。そうだとすれば、岸田政権は、これまでも十分に緩んできた財政規律を、とめどなく緩めるつもりなのだろうと思わざるをえない。

岸田政権は、先般財源の見通しがまったくないままに、国防費倍増を立ち上げ、加えて少子化対策と称して、これも財源の見通しのたたないままに、巨額の支出を制度化しようとしている。この調子だと日本は、財政規律を欠いたまま、借金にたよった財政運営をすることになる。

岸田政権としては、増税によって財源を確保することが望ましいのだろうが、増税強大な抵抗がある。所得税や法人税をあげるには、抵抗勢力の圧力をしのがねばならぬが、岸田政権にはそんなバトルに耐える体力はないだろう。まして、消費税を上げるわけにはいかない。消費税を上げるそぶりを露骨に見せれば、政権が崩壊しかねないと思っているだろう。

だからといって、財政規律をとめどなく緩め、自転車操業のような借金まみれの財政運営が許されるわけでもない。岸田政権が今回の措置を、時間稼ぎと思っているのなら、それは甘すぎる見通しというものだ。増税で財源措置ができないならば、実収入に見合った予算で我慢するべきである。それを超えて、国防費の倍増を実現したいというのは、身の程をわきまえない暴挙というべきである。





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