ゼレンスキーが汚職摘発に腰をあげたわけ

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ゼレンスキーが政府高官などの汚職摘発に乗りだしたことが話題となっている。摘発された高官のなかには、国防省の幹部も含まれているというからかなり深刻だ。ゼレンスキーがいま汚職の摘発に腰を上げたことには、いくつかの理由があると憶測されている。一つは、かねてからの公約を実施したということ。ウクライナは、ロシア同様汚職が蔓延する腐敗国家というイメージがあった。そのイメージを振り払わないと、悲願のEU加盟が達成できないということがあるのと、また、西側からの援助にさしさわりがあると認識したこともあるだろう。

もっとも強烈だったのは、アメリカからの圧力だ。ワシントン・ポスト(電子版)の記事「U.S. cautions Ukraine on aid as public support slips」によれば、アメリカの国防省、国務省、国際開発庁(対外援助の当局)が共同で、ウクライナ政府に対して、アメリカからの軍事援助の受け入れプロセスが透明化されること、また、軍事援助にかかわる汚職を摘発することを求めたという。さもなければ、ウクライナへの軍事援助に懐疑的な勢力から、その停止ないしは縮減をせまられる理由をみずから作ることになる。そう言ってウクライナ側に圧力をかけたということらしい。

ウクライナについては、バイデンの息子ハンターが黒い利権を持っていると言われており、バイデン自身もそういった利権にかかわりがあるのではないかと疑われている。それが共和党側に、ウクライナの印象を悪くさせる効果を生んでいる。そんなわけで、ウクライナ側がみずから汚職を取り締まり、クリーンなイメージを示さなければ、今後の軍事支援は持続可能にならない。

そんな事情があるので、ロシアとの戦いに必死になっているゼレンスキーとしては、アメリカはじめ西側諸国からの軍事援助を引きつづき確保し、また、戦後復興への協力を得るためにも、汚職の摘発は不可欠と判断したものらしい。それが、腐敗分子の摘発にやっと腰を上げることにつながったというわけだろう。なにしろウクライナは自力ではロシアと戦えず、また経済的な復興もままならないという事情があるので、西側諸国からの援助は死活問題なのだ。





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