バイデンが中国風船をつぶして大喜び

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中国の風船がアメリカ上空に飛来し、それをバイデン政権が破壊したことが、大騒ぎになっている。アメリカはこれを、中国がアメリカの機密情報を収集するために飛ばした偵察気球だと非難し、それを破壊することは、アメリカの安全保障上当然のことだと言うのに対して、中国側は、これは民間の気象調査用の風船であり、それが思いがけず、アメリアの上空に迷い込んだだけのことであり、それを一方的に破壊する行為は過剰反応だといって避難し、報復措置を匂わせている。だが、そんな脅しに対して、議会も超党派で対中対決姿勢を強めている。それに乗っかる形でバイデンも、「おれが率先して中国風船をつぶした」といって、自分の手柄を強調し、大よろこびする始末である。

実は、中国風船がアメリカ上空に飛来するのは、これは初めてではない。トランプ時代に三回飛来しているし、バイデンになってからも一度飛来している。そらが今回のような騒ぎにならなかったのは、政府が情報をコントロールしたからだろうと思われる。トランプは、「おれが大統領だったころに中国風船がアメリカに飛来したことはない」といって、この騒ぎに巻き込まれたことに怒りを表明しているが、もしかれが本当に中国風船のアメリカ飛来を認識していなかったとすれば、情報当局が隠していたためだと推測できないでもない。

今回バイデンが、派手なパフォーマンスに踏み切ったのは、議会が超党派で対中強硬姿勢を明確化し、また、世論もそれに煽られて硬直化したためだと思われる。バイデンにとって、対中融和と見られることは政治的な冒険であり、ここは強硬な態度を見せるより選択の余地はなかったといえる。今やアメリカの対中感情は、危険なほど悪化しており、それが対中戦争を勃発させるエネルギーにならないとも限らない。アメリカがそれほど対中関係に敏感なわけは、アメリカ建国の経緯から説明できる。アメリカという国は、インディアン殺しの上になりたっており、そのインディアンの血縁というべきチャイナの台頭は、かれらアメリカの白人社会にとっては、西部劇時代以来の深刻な脅威なのである。このままこうした事態を放置していては、かつての第七騎兵隊の全滅と同じような敗北を味わうかもしれない。それを避けるためにも、アメリカにとって脅威となるものは、いまのうちにつぶしておかねばならない。そういうセンチメントが、アメリカの白人社会を捉え、その熱気がバイデンを、中国風船つぶしに走らせたのであろう。

これに対して中国は、報復措置を匂わすなど対抗姿勢を示してはいるが、その態度は抑制されているように見える。いまの中国には、まだまだアメリカと対等に行動する能力はない。軍事的には、アメリカとの間にかなりな差があり、経済的にも、アメリカと絶縁するような余裕はないはずだ。だから、中国側から、アメリカを刺激するような行動には踏み切らないと思われる。中国がもし、アメリカの風船つぶしに相応な報復をするということになれば、バランス上、アメリカが中国上空に飛ばしている偵察衛星を撃墜するということになろうが、それでは、中国側から戦争を仕掛けたことになるので、そこまではしないだろうというのが、常識的な見立てである。





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