帽子店にて:ドガの風俗画

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ドガは、1870年代末から80年代にかけて、踊り子群像のほか、風俗画風の作品を多く手掛けるようになる。町で憂さ晴らしをする女たち、仕事ちゅうの女たち、そして湯浴みなどの日常生活の一コマを、スナップショット風に切り取った構図で描いた。「帽子店(Chez la modiste)」と題されたこの作品は、女性用の帽子店で品定めをする女たちを描いている。

ドガは、帽子を品定めする女を描いた作品をほかにも描いていて、なかでもシカゴ美術館所蔵のものが有名だが、完成度という点では、この「帽子店にて」がいちばんすぐれている。

二人の若い女が、おそらく鏡を見ながら、帽子の具合を確認している。右側の女性は、帽子選びに夢中だが、左側の女性は、どういうわけかしらけた雰囲気に見える。その左側の女の背中あたりに派手な色彩の模様があるが、これが女の衣装の一部であるようにも見え、また帽子であるようにも見える。

(1882年 紙にパステル 75.5×85.5㎝ マドリード、ボルネミッサ美術館)






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