階段を上る踊り子たち:ドガの踊り子群像

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ドガは横に長い画面を好んで描いた。踊り子の群像を描くのに適していると考えたからであろう。「階段を上る踊り子たち(Danseuses montant un escalier)」と題されたこの絵も、横に長い画面に踊り子の群像を描いた作品だ。

画面中央に、階段を上り切った一人の踊り子を配し、彼女の背後には続いて階段を上ろうとする踊り子たちを描き、右側の奥のほうに、練習中の踊り子たちを描いている。それなりに遠近感があり、踊り子たちは立体的に表現されている。

彩色にも工夫が見られる。画面左手は暗く表現し、右側を明るくしている。中央の踊り子は、ちょうどその合間に位置し、体の前半分に光があてっている。ドガは、印象派といわれるほど光を強く表現しなかったが、この絵には光が効果的な役割を果たしている。

(1888年頃 カンバスに油彩 39×89㎝ パリ、オルセー美術館)






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