原発ゼロ、やらない岸田首相こそ「変人」だ:小泉純一郎大いに語る

| コメント(0)
小泉純一郎元首相は、福島原発事故以来原発ゼロを叫んできたが、最近はその声が途絶えがちのように見えた。ところがこのたび、岸田政権が原発回帰の姿勢を露骨に示したことに反応して、雑誌「世界」のインタビューに応じた。「世界」はずっと一貫して原発に批判的なスタンスをとってきたので、岸田政権の原発回帰に危機感を覚え、小泉純一郎と助っ人と頼んで、引っ張り出したのだろう。

「原発ゼロ、やらない岸田首相こそ『変人』だ」と題したそのインタビュー記事を興味深く読んだ。小泉が原発に疑問をもつようになったのは、福島原発事故がきっかけだったそうだ。それまでは、「日本の原発は安全だ、コストは安い、CO2を出さないクリーンエネルギーだと信じていた」のだが、「これが全部うそだということが事故を見て分かった」という。原発は安全どころか非常に危険だ。コストは高く、電力会社だけでは負担できないから、政府に応援を求める始末。つまり税金で原発を支えてくれといっている。クリーンという点では、原発の廃棄物をどうするのかさえ、見通しがついていない。そんなものをクリーンと呼ぶわけにはいかない。

そんなわけで、原発には何のメリットもなく、デメリットばかりだ。そんなものはやめるべきだし、また簡単にやめることができる。総理が一言「原発はやめろ」と言えばよいのだ。総理がそう言えば、役人は従う。だから総理の姿勢次第で、原発ゼロは実現する。ところが岸田首相はそれと全く逆のことをしようとしている。そんな岸田首相を小泉は、「おれは変人と言われているけれど、(岸田)総理のほうがよほど変人だな」と言うのである。

小泉は、福島原発事故の「根本的な原因は、規制する側が原発会社の虜になったからだ」と言う。原発側の言いなりになって、規制の役割を果たしていなかったと言うのである。この言葉に接して小生は、最近の規制委員会の動きについて思い当たるところがあった。田中委員長が規制委員会を率いていた頃は、まだ厳格な規制につとめているという姿勢がうかがわれたが、いまの山中委員長は、規制の範囲を非常に狭く解釈し、たとえば原発の稼働機関については、規制委員会ではなく、経済産業省が決めるべきことだとして、事実上、原発会社側に決定権を持たせるような動きを見せている。これは、福島原発事故以前の在り方に戻るものであって、事故の教訓を全く無視したものといわねばならぬだろう。

最後に小泉は、「諦めちゃいけない。うん、粘り強くね」といって、今後の原発ゼロ運動へのエールを送っている。小泉について小生は、かれが日本を誤った方向に導いたと考え、政治家としては失格だと思っているのだが、こと原発ゼロに関しては、まともなことを言っていると考えている。もう年だから、たいしたことはできないだろうが、できる範囲で、原発ゼロを叫び続けてもらいたい。





コメントする

アーカイブ