クリント・イーストウッド「バード」:チャーリー・パーカーの伝記映画

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クリント・イーストウッドの1988年の映画「バード(Bird)」は、伝説的なジャズ・ミュージシャン、チャーリー・パーカーの伝記映画である。伝記といっても、パーカーの生涯を満遍なくカバーしているわけではない、パーカーをめぐるいくつかのエピソードをコラージュ風につなぎあわせたものである。

チャーリー・パーカーは、モダンジャズの先駆者の一人であり、ビーバップと呼ばれる演奏スタイルを確立した功績が帰せられている。ビーパップ゚とは、即興的な演奏を特徴とするもので、モダンジャズのもっとも大きな特徴とされる。その演奏法を確立して大きな名声を浴びながら、三十四歳の若さで死んだこともあり、ジャズの歴史において、伝説的な存在に祭り上げられた。その伝説的なパーカーの魅力に、クリント・イーストウッドも魅せられた一人なのであろう。

映画は、パーカーが薬剤で自殺未遂を図るシーンから始まる。そのパーカーの意識や、妻のチャンの意識の中に、過去の思い出がよみがえってくる。その思い出の中のシーンをアットランダムにつなぎあわせる形で映画は展開していくのである。

映画の主なテーマは、パーカーの麻薬中毒との戦い、パーカーの生き方を支え妻チャンとの触れあい、またデジー・ガレスピーをはじめとしたジャズ仲間との交流である。とくに麻薬との戦いが大きなテーマとなっている。かれはすでに15歳にして麻薬中毒に陥って以来、生涯麻薬と縁を切ることができなかった。そのため何度も精神病院の世話になり、最後もやはり精神病院で死ぬことになるのだ。

映画には、パーカーの演奏ぶりが随所で紹介される。パーカーを演じたフォレスト・ウィテカーが実に心憎い演技ぶりを見せ、往年のパーカー・ファンを喜ばせたということだ。なお、タイトルにある「バード」とは、チャーリー・パーカーの愛称である。






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