韓国化するアメリカ政治:トランプ起訴の意味するもの

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前米大統領ドナルド・トランプがニューヨーク検察によって起訴された。容疑はとりあえず、元ポルノ女優ストーミー・ダニエルスとのセックス・スキャンダルにからむものだが、トランプにはそのほか重大な犯罪容疑がいつくか取り沙汰されており、今後の展開によっては複数の容疑で訴追される可能性が高い。

これに対して共和党は強く反発し、司法を政治化するものだといって非難している。トランプを起訴した検察官が、民主党から立候補して当選したという経緯を踏まえてのことだ。アメリカには、司法を含め、公務員を選挙によって決めるという慣習があり、とかく政争に巻き込まれやすい傾向が以前から指摘されていたのであったが、今回はそれが露骨な形で現れたわけである。

司法の政治化という点では、韓国が有名である。韓国は政権交代のたびに、前の政権の指導者が次の政権によって迫害されるという歴史を重ねてきており、その政争に司法も深くかかわってきた。それには、韓国特有の政治のあり方が絡んでいる。韓国の政治は、買弁派と民族派の対立を基軸に展開してきた歴史があり、買弁派が政権を握ると反北朝鮮・親米・親日路線を打ち出すが、民族派が政権をとると、対北柔和、対米自立、反日の路線に切り替わる。隣国である日本は、そうした韓国の政治対立を、一方では迷惑に思いながら、もう一方では、うまく利用してきたものである。

では、アメリカ政治の対立軸はなにか、が問題となる。アメリカの二大政党である共和党と民主党との間には、従来根本的な差異はなかったといえる。ゆるやかな傾向として、共和党が白人の熱い支持の上に対外的には孤立主義に傾く一方、民主党のほうは人種融合的で対外的には積極介入路線をとってきたということが指摘できた。それが、近年、とくにトランプ政権以降、両党の間の分断に拍車がかかった。共和党は一層白人寄りの傾向を強め、極端な場合にはホワイト・スプリーマシズムといえるような言動をするようになった。その一方で、民主党のほうは、人種融合的な振舞いをしながら、対外的には非常に好戦的な姿勢を強めている。バイデンの好戦的な言動は、そうした民主党の傾向を代弁するものだ。それを小生はウォー・キャピタリズムと呼んで、共和党のホワイト・スプリーマシズムと対比させている。

今回のトランプ起訴は、とりあえず両党の政策の相違を反映したものとはいえぬが、対立が深い分断を生んでいることは明らかに指摘できる。アメリカは今後、さらに分断を深め、統一国家としての体裁を保つゆとりを失うかもしれない。いずれにしても、アメリカ政治が韓国の真似をしつつあると指摘することはできよう。





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