最後の閣僚会議:ドーミエの風刺版画

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1848年2月、いわゆる二月革命が勃発すると、ドーミエは多大な関心を寄せ、一時期控えていた政治的な風刺版画を再び手掛けるようになる。「最後の閣僚会議(La dernière réunion du cabinet des ex-ministres)」と題したこの石版画は、二月革命によせるドーミエの共感を示したものである。この石版画を通じてドーミエは、王政の打倒と共和国の復権を訴えたのであった。

右側に描かれた女性は、共和国の象徴自由の女神である。左側には、女神の登場にうろたえた旧時代の閣僚たちが描かれている。かれらは、自由の女神が共和制を復活させるのではないかと、恐れおののいている。これら旧時代の閣僚には、ギゾー、ティエール、モレなど、ルイ・フィリップ王政を支えた政治家たちの面影が見て取れる。

この版画で政治風刺の舞台に復帰したドーミエは、以後しばらくの間、共和国の復活に向けて、精力的にメッセージを発していくことになる。

(1848年3月 リトグラフ 21.4×26.9㎝ シャリヴァリ)






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