高市大臣が『捏造』だとした総務省文書から見えてくること:片山善博氏の「日本を診る

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片山善博氏は旧自治省出身で、鳥取県知事や総務大臣を歴任した人であり、その経験をいかして、日本の現状について積極的に発言している。小生は、地方公共団体の一役人として生涯の大半を過ごしたこともあり、氏の発言にはかねがね関心を持って接してきた。氏が雑誌「世界」に寄稿している「日本を診る」シリーズは欠かさずに読んでいる。そのシリーズの最新版には、「高市大臣が『捏造』だとした総務省文書から見えてくること」と題した一文を寄せていて、興味深い内容となっている。

氏が言うには、この種の文書は、役人がよく作るもので、決して捏造ではない。役人がこうした文書を作るのは、なにか重要なことがらについて、有力者から不当な圧力を受けたような場合、一つには役所内での情報共有を図ることで、当該役人の処理の正当性を周囲に理解してもらうこと、もう一つは、後世その処理が問題化したときに、役所が不当な政治的圧力に屈したということを明らかにするためだということだ。氏自身、現役の課長時代に、ある議員から不当な圧力を受けたときに、同じような文書を作って上司に報告し、役所の中での情報共有を図ったそうだ。

だから、今回のいわゆる放送法文書も、不当な圧力に直面した役人が、役所内における情報共有のために作成したものだろうと氏は推測し、同情の気持ちを表している。

小生も同じような経験をしたことがある。一つ例を挙げると、所管事項をめぐってある議員から不当な要求をされた。その議員は、役所内でかねがね悪い評判がたっていて、小生が仲良くしていた男などは、これは後に副知事になったほど要領のいい男だったが、小生に向かって、あれは悪党だから気をつけたほうがよい、と忠告してくれたものだった。ところが小生は容量が悪かったので、その議員からの不当な要求に振り回されたあげく、上司までその騒ぎに巻き込んでしまった。というのも、自分の言い分が通らないで腹を立てた議員が、局長を呼び出して、その前で小生と小生の直属の上司である部長を面罵し、あまつさえ副知事に電話して、この不届き者らを排除しろと意気込んだものだ。

局長は、われわれの苦労を理解してくれ、高い給料をもらっているのだから、これも仕事の一部だと思え、などと言ってくれたものだった。だが部長は、定年にはまだ間があったが、直近の人事異動時期に合わせて依願退職をすることになった。別に願ってやめたわけではないと部長は言っていたものだ。小生は、おとがめなしで済んだが、こんな事態に巻き込まれたために、議会の中のたちの悪い議員には細心の注意を怠らないように心がけた。つけても、小生の所属していた地方団体の議員には、こうしたたちの悪いのがかなりな数いて、それらがてんでに悪さを働くのを見て、小生は、議員が多ければ多いほど、悪事のたねが増えるので、議員の数はなるべく少ない方がよい、というふうに考えるようになった次第である。





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