韓国化する日本

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雑誌「世界」の最新号(2023年5月号)に、「日韓逆転のなかの徴用工問題"解決策"」というインタビュー記事が載っているのを、興味深く読んだ。青木理が李鍾元(朝鮮半島研究者)にインタビューしたもので、今般の徴用工問題の「解決策」をテーマにしたものだ。その中で李は、韓国側からの「呼応」の呼びかけに日本側が一切応えなかったことを評して「日本の韓国化」と言っている。小生は先日アメリカ政治の韓国化について論評したことがあったが、日本もまた、第三者の視点からは、韓国化していると見られて不思議ではない。

李がいう韓国化とは、ナショナリズムに凝り固まって、相手の言い分を一切考慮せず、自分の言い分ばかりを言い募るということらしい。今の日本がまさにその通りのことを行っており、「韓国との関係は一歩も譲るな、譲るような態度を示すと猛烈な攻撃を受ける風潮が強まってしまった」のだという。これは、日本社会がかつてのような自信を失ったことに起因していると李は見ている。自身に満ち溢れた時の日本は、韓国に対して寛容に振舞うことができた。だが、自信を失ったいま、他国(韓国のみならず)から批判されるとすぐに「反日」だとかいって強く反発する。その反発の仕方が、かつての韓国とそっくりだというのである。

アメリカの「韓国化」は、政治レベルの分断を意味していたが、日本の「韓国化」は、狭隘なナショナリズムのたこつぼにはまるということだろう。

韓国と日本の類似は、政治家の態度にも現れている。たとえば、今般アメリカ政府の機密情報がネットを通じて拡散した事態に関連して、その機密情報には、韓国政府内の動向も含まれていたと報道されたことに、韓国政府は、そんな報道は「偽造」だといって、強く否定した。韓国政府が「偽造」だと主張することに合理的な根拠があるわけではなく、ひたすら不都合な事実を無視したいとい思惑から出たことだと思われる。日本の政治家にも、自分に不都合な情報を「捏造」だといってふんぞり返っているものがあるところから、日本と韓国とは似たもの同士という印象を持つのである。





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