ラタポアールとカスマンジュー:ドーミエの風刺版画

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ルイ・ナポレオンが大統領に当選したことを記念して、「十二月十日博愛主義協会」という組織が結成された。ナポレオンの最大の支持組織である。その組織は、ラタポアールとカスマンジューという二人の人物によって代表されていた。「ラタポアールとカスマンジュー(Ratapoil et Casmanjou)」と題するこの石版画は、かれらを批判的に紹介した作品である。

この二人の人物は、ドーミエが創造した架空の人物像だという見方が有力だが、実在したとする見方もある。どちらにしても、ナポレオンの大統領就任から、クーデタをへて皇帝になるまでの、ナポレオン派の不穏な動きを、ドーミエはこの二人の人物を介して批判している。

ナポレオン派は、すでに六月蜂起のころから暗躍していたようである。六月蜂起が、過激派に対する市民の警戒感を強めると、それに乗じた形で、保守派のシンボルとしてのナポレオンの効用を宣伝する役目を担ったようである。

(1850年10月 リトグラフ 24.7×20.9㎝ シャリヴァリ)






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