インドネシア人の対日感情

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昨夜(4月24日)、NHKのスペシャル番組「映像の世紀」が、「大東亜共栄圏の夢と現実」と題して、アジア太平洋戦争における日本の対外進出の実像に迫っていた。その中で、日本人が東南アジア諸国の人々からどのように見られていたかについて、簡単な言及をしていた。その一例として、インドネシア人のことわざを紹介し、かれらが日本に一定の期待をしていたということを匂わせている。そのことわざとは、「黄色い人が白い人を追い出してくれる」というものだが、それを、自分らと同じ肌の色の日本人が、肌の色の違うオランダ人を追い出してれるという意味にかさねて、インドネシア人が日本人を好意的に見ていたことの実例のように紹介していたものだ。

だが、実態はそんな単純なものではないと思う。インドネシア人がオランダ人を憎んでいたことは確かだったようだが、だからといって、日本人を解放者として見ていたわけではなかったようだ。そのことは、小生自身の体験からも言えるのではないかと思う。小生は三十年ほど前にインドネシアに旅行したことがあったが、懇意になったインドネシア人に、戦時中における日本人の印象をたずねたところ、その人は、インドネシア人の間で流布している次のようなことわざを紹介してくれたものだ。それは、「赤い鬼が去って、小人の鬼がやってきた」というものだった。赤い鬼はオランダ人をさし、小人の鬼は日本人をさすのだそうだ。

こうした日本への否定的な感情は、フィリピンでも強かったようだ。この番組はフィリピンの対日協力者に焦点を当てていたが、実際には、アメリカと協力して対日ゲリラ活動が盛んに行われたくらいだから、日本への敵対感情は、インドネシア以上に強かったと思われる。

アジア太平洋戦争の時代、日本は「大東亜共栄圏」のスローガンをかかげて、アジアが一体となって欧米の植民地主義と闘うのだという名分を掲げたわけだが、実体としては、その欧米の植民地主義と異ならない振舞いをアジア諸国に対しておこなったわけである。そのへんをきちんと理解したうえで、アジア諸国に接しないと、真の友好関係は築けないと知るべきである。





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