G7は対ロ戦争を勝ち抜けるか

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今回のG7は日本の岸田首相が議長を務めたということもあって、岸田首相の人格を感じさせるものとなったのではないか。岸田首相には、核なき世界と言いながら、実際には核抑止を信じているというような、分裂した言動が指摘されるのであるが、今回はそうした岸田首相に呼応するかのように、支離滅裂な会議になったというのが小生の受けた印象である。

今回のG7会議の主要な議題は二つ、ウクライナ戦争と核兵器の問題である。ウクライナ戦争については、岸田首相をはじめどの構成国の代表も、ロシアへの制裁とウクライナへの軍事支援を声高に主張していた。これはどう考えても、ロシアが降伏するまではこの戦争を止めないという意思表示だろう。戦争を終わらせると彼らが言っている意味は、ロシアに降伏させるということだろう。ロシアが降伏するまではこの戦争は続く。その戦争をG7はウクライナ側に立って戦う。そう宣言したようなものである。

G7がそこまでこの戦争にこだわるのは、ロシアによる侵略という事態が、ロシアに対するG7の全面戦争にお墨付きを与えたと考えるからだろう、ちょうどいい機会だから、このさいロシアを徹底的にたたいてやろう。そのうえ、今回はウクライナが、G7に代わってロシアと闘ってくれる。だからG7にとって今回の戦争は、ウクライナを利用した代理戦争といってよい。そのウクライナの大統領ゼレンスキーをこの会議に迎えたのは、G7にとって戦争代理人の役割を演じてくれていることに敬意を表するとともに、戦争に向けていっそう発破をかけたということだろう。

以上がウクライナ戦争問題についての、小生の率直な受け止め方である。今回のG7の会議は、戦争を止めることを目的としたものではなく、いかにして対ロ戦争に勝つかということについての相互確認の場、言ってみれば戦争談合の場といってよい。だが果たしてG7は、対ロ戦争に勝ち抜くことが本当にできるのであろうか。また、できると思っているのだろうか。

核兵器の問題については、岸田首相の言葉に乗じて「核なき世界」を目指すと言っておきながら、実際には核の抑止力という考えにしがみついたままだ。核なき世界を本当に目指すなら、核禁止条約について当然議論してしかるべきところ、核禁止の言葉は一言も発せられず、G7加盟国の核兵器保持の容認とそれを前提とした核不拡散の議論にとどまっていた。これでは分裂した考えだと言われても仕方がないだろう。核禁止問題に長年取り組んでいるサーローさんは、このG7を完全に失敗だったと言っているが、G7諸国に始めからこの問題に真剣に取り組む意思は見られなかったのであるから、失敗も何もない。かれらのいう「核なき世界」とは、G7に敵対する国には核を持たせないという意味にすぎない。

以上、この会議を見ての印象は、言っていることとやっていることが正反対で、言動が完全に分裂しているということだ。会議場(広島)に並んだ各国の首脳たちを見ていると、まるで分裂病患者たちの集まりのようである。






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