起源:ルドンの石版画集

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(おそらく花の中に最初の資格が試みられた)

「起源(Les origines 1883年)」はルドンの三番目の石版画集で、八点の作品で構成されている。豚の怪物が暗闇の中で目覚めるといった構図の作品からはじまる。目覚めは誕生、つまり生命の起源の隠喩だろう。以下いづれも、何らかの形で「起源」をテーマにしていると受け取れる。

上の絵は、画集の二番目に収載されたもので、「おそらく花の中に最初の視覚が試みられた(Il y eut peut-être une vision première essayée dans la fleur )」という説明が付されている。視覚の「起源」をモチーフにしたとうけとれる。その視覚は、花を見ることを通じて出現したというわけだ。ルドンは花を描くことが好きだった。(1883年 リトグラフ 22.3×17.2㎝)

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(不格好なポリプは薄ら笑いを浮かべた・・・)

この絵は、画集の三番目に収載されたもので、「不格好なポリプは薄ら笑いを浮かべた醜い一眼巨人のように岸辺を漂っていた(Le Polype difforme flottait sur les rivages, sorte de cyclope souriant et hideux)」という説明が付されている。「ポリプ」とは「ポリープ」ともいわれるが、原意は軟体動物の一種をいう。その軟体動物のポリプが、薄笑いをうかべた巨大な目玉で表現されている。生命の起源は軟体動物にあるといいたいのであろう。(1883年 リトグラフ 21.3×20.0㎝)





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