日曜日はダメよ:ギリシャ映画

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ギリシャ映画を代表する作品「日曜日はダメよ」は、1960年に公開され、日本では翌年封切られたが、映画そのものよりは、主題歌のほうが有名になった。映画のほうは、アテネの外港ピレエスを舞台に、メリナ・メルクーリ演じる陽気な娼婦とアメリカから来た男の奇妙な恋を描いたものだ。そのアメリカ男を監督のジュールス・ダッシンが演じていた。その男は、娼婦をまともな人間に更正させようとしてさまざまな努力をするのだが、娼婦のほうはかれを捨ててマッチョなイタリア男になびくと言った内容だ。

筋書き自体は平凡で大した工夫もみられないが、なにしろ娼婦を演じたメリナ・メルクーリの迫力が半端じゃなく、彼女の歌い踊る姿を見るだけでも得をした気分になれる。大きく見開いた目と巨大な洞窟のような口がチャームポイントで、誰もがその洞窟のような口の中に飲み込まれそうな危険を感じる。その危険がスリリングなので、男を病みつきにせずにはやまないのである。

メリナ・メルクーリは、いまでもギリシャ美人を象徴する存在ということらしい。先日読んだ米原万里の「嘘つきアーニャの真っ赤な真実」という本の中でも、ギリシャ人の血を引く娘が、ギリシャの象徴として、真っ青な空とメリナ・メルクーリをあげていたほどだ。

しかし、娼婦をヒロインにしたてあげた映画というのもめずらしい。娼婦といえばとかく日陰の花を連想させるが、この映画の中の娼婦は、メリナ・メルクーリをはじめとして、自分の商売に愛着を持って、堂々と振る舞っている。メリナ・メルクーリにしたって、半ばは自分の快楽のために男を抱いているのだ。彼女は、顔だけではなく、身体全体も色気の塊といった具合で、男ならだれでもしゃぶりつきたくなるくらいなのである。






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