難民ノーのメッセージを世界に発する:入管法改定

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入管法の改定案が6月9日にも参議院本会議で可決され、法律として施行されることが決まった。改定後の入管法は、事実上難民を日本から締め出す内容のものであって、難民問題の専門家や一部の野党の批判を浴びていたのであるが、与党とそれに同調する勢力は、そうした批判には耳を貸さず、難民を受け入れっるつもりはないということを、世界に向けて宣言したことになる。

現在の難民法でも、難民の地位は軽んじられているが、この改定によって、難民は日本ではまともな人間としては取り扱ってもらえなくなる。なにしろ、頭ごなしに難民を本国に強制送還するという姿勢を世界に向けて示したわけだから、日本の保守勢力のこの問題についての覚悟のほどがうかがわれようというものである。要するに日本は、世界に向かって、日本は難民ノーの国であるから、日本に保護を求めるのやめなさいと言っているようなものだ。

この改定案が国会に上程されたのは今回が初めてではない。二年前にも、ほぼ同じ内容の改定案が上程されている。その際には、たまたまウィシュマさんの問題が世間を騒がせていたこともあり、政府は国際的なイメージ悪化を恐れて引っ込めたという経緯がある。今回それとほぼ同じ内容の法案をまたぞろ上程したのは、ウィシュマさんの問題も風化し、世間の注目が集まることもないだろうと見込んだからと推測される。

小生は、日本が率先して難民を受け入れるようになれとは思わないが、しかし、難民条約にも加盟しており、また、日頃人権の尊重を標榜する国柄としては、今回の頭ごなしの難民ノーの意思表示は、ちょっと問題なのではないかと思っている。





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