キム・ギドク(金義徳)の2006年の映画「絶対の愛」は、整形手術で全く別の顔になった女の話。その女セヒは、非常に嫉妬深く、恋人が他の女と仲良くするのに耐えられない。そこで男を捨てて出奔するのだが、やはり忘れられない。だが、もとのさやに納まるわけにもいかない。そこで、整形手術を受けて別の女になりすまし、改めて男の心をつかもうとするが、うまくいかないといった内容である。
美しくなりたいと思って整形手術を受けるのはわかるが、まったく別の人間になりたいと思って整形手術を受けるというのは、どういうわけか。顔はとりかえることはできても、性格はなおせないだろうし、体の他の部分もそう簡単に入れ替えるわけにはいかないだろう。
だからこの映画は、かなり荒唐無稽なのだが、それなりに現実性を感じさせもする。こういう女性は全くありえないと断定するわけにもいかない。
この映画の中では、一貫して女が男をリードしている。男は女に挑発されてやっと発情する。発情しても拒絶されるとすごすごと引き下がる。要するに情けない男たちなのである。
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