セザンヌにとっての印象派時代は、1872年から1879年ごろまでの短い期間にすぎない。1872年の夏に、普仏戦争を避けて疎開していたエスタックからパリに戻ると、郊外のポントワーズでピサロとキャンバスをならべて制作するようになる。また、モネやルノワールとも親交を結んだ。かれら印象派の画家たちから、
セザンヌは光の表現を学んだ。だが、印象派との蜜月は長くは続かなかった、1879年の第四回印象派展を最後に出展しなくなった。
「モデルヌ・オランピア(Une moderne Olympia)」と題されたこの絵は、印象派時代の代表作の一つ。マネの有名な作品「オランピア」を意識した作品である。マネのオランピアが世間を騒がしたのは1865年のことだったが、セザンヌはその二年後に「オランピア」のパロディを制作している。
1874年に描かれたこの「オランピア」にモデルヌという形容詞がついているのは、前作を意識してのことだろう。
印象派風の光の処理が顕著に見られる作品である。構図は、マネの原作をかなり変えている。一番大きな変更は、手前にオランピアに見入る男を入れていることだ。
(1874年 カンバスに油彩 46.2×55.5㎝ 個人像)
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