アキ・カウリスマキ「愛しのタチアナ」 二組の男女の奇妙な旅

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アキ・カウリスマキの1994年の映画「愛しのタチアナ(Pidä huivista kiinni, Tatjana)」は、冴えない中年男の二人組と、これもまたさえない中年女の二人組との奇妙な旅を描いた作品。旅の果てに、一組の男女が結ばれ、結ばれなかったほうは、もとの生活に戻っていく。フィンランド人の生活は、生きるのが楽しいとはいえない、だからもとの生活に戻るのは、憂鬱なことだ、というようなメッセージが込められた作品である。

コーヒー好きの男が、母親がコーヒーをいれてくれないのに腹をたて、母親の金を盗んでドライブに出かける。ポンコツ車を修理してくれた友人がドライブの相棒だ。かれらはとあるカフェで二人連れの女たちと知り合いになる。女たちは、かれらが間抜け面をしているから、適当に利用してやろうと考える。彼らの車に便乗してヘルシンキまで行くつもりなのだ。ヘルシンキからは船に乗ってエストニアに渡るつもりだ。エストニアはフィンランドとは親戚関係にあるので、エストニアに行くフィンランド人は結構多いのだ。

その夜はどこかの町のホテルに泊まる。シングルの部屋を二つ借り、そこに男女が二組分かれてとまる。セックスはしない。そのかわりロックを踊りにいく。男たちが踊れないので女同士で踊る。

ドライブは続く。だいたい彼らはフィンランドの最北部からきたらしいのだ。そこからヘルシンキまではだいぶ距離がある。二晩目もホテルに泊まり、四人で一緒に夕食をとる。食券制で安い料金だ。女たちのうち、若い方はエストニア人でタチアナといい、もう一人の肥った女はロシア人でクラウヂアという名前だ。相棒のほうが、部屋を共にしたタチアナと次第にうちとけるようになる。三晩目はヘルシンキのようだ。そこで寝た後、女たちはエストニア行きの船にのる。どういうわけか男たちも付き合って船に乗る。だがエストニアのタリンにつくと、相棒はそのままタチアナについていき、主人公の男だけがフィンランドに戻ってくる。

フィンランドに戻った男は、自分の家に帰り、母親と一緒に退屈な暮らしを再開する、といった内容である。この映画には、暴力的な要素は感じられない。かわってフィンランド人の田舎根性が皮肉なタッチで描かれている。






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