エリック・ロメールの1987年の映画「友達の恋人(L'ami de mon amie)」は、「喜劇と格言」シリーズの第六作。男にもてない女の恋人探しを描いた作品。自分の力では男を見つけることができないので、友達に協力してもらって男をみつけようとするが、なかなかうまくいかない。引っ込み思案だからだ。そのうち、事態は急転し、友達の恋人だった男とくっつく。もっともその男は友達が愛想をつかして捨てた男だった。だから彼女は、友達のお古を払い下げしてもらった形だ、というような内容。
パリ北西郊外のセルジー・ポントアーズという街が舞台だ。オアーズ川がセーヌ川に合流するあたりに建設されたニュータウンだ。その一画のオフィスに努めている24歳の女性ブランシュが、社員食堂で学生のレアと知り合いになる。二人は意気投合し、一緒に遊ぶうちに、レアの恋人ファビアンとその友達アレクサンドルとも知り合いになる。ブランシュはアレクサンドルに一目ぼれするが、レアはあなたには向かないと言って反対する。わたしがブスだからかと聞くと、あなたはブスじゃない、ただアレクサンドルとあなたはうまくいかない、なぜならアレクサンドルはキザだからだと答える。
やがてレアは、学校を卒業し、それを契機にファビアンと別れる。するとファビアンのほうからブランシュに接近してくる。自分にはレアよりも君のほうが向いているんだ、というのである。そんなわけで、ブランシュは友達の元恋人と結ばれるのである。原題は「友達の友達」という意味で、その友達の友達であるファビアンがブランシュの恋人になるわけだ。
フランス女性としてはめずらしく内気な女性が主人公のこの映画は、軽快な展開ぶりがいかにもフランス映画らしいが、男女の性的な結合がほとんど出てこないという点では、フランス映画らしくない。
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