1999年のアメリカ映画「マトリックス(The Matrix ウォシャウスキー姉妹監督)」は、人工知能(AI)が人類を支配する未来を描いた作品。人工知能が発達した究極の段階で、それが人間のコントロールを脱し、自立した存在者となり、しかも人間に敵対する可能性があるという予測は、著名な物理学者ホーキング博士をはじめ、多くの人の心をとらえている。1984年のアメリカ映画「ターミネイター」は、AIが人類を迫害するというテーマを描いた。この「マトリックス」という作品も、その延長上に位置付けられるものだ。
AIロボットが人類を征服して、地球を彼らの支配する星にしてしまった。征服された人類は、AIロボットの奴隷にされる。そんなAIロボットに対して、抵抗するものが人類の中にもいる。その抵抗者が、AIロボットやその被支配者を相手に戦うというのが、この映画の基本プロットである。
トーマス・アンダーソン(キアヌ・リーヴス)というプログラマーが、AIに命を狙われる。AIは、彼を非常に危険な人物と捉えている。かれが人類の救済者となって、AIに立ち向かってくることを恐れているのだ。そんなトーマスを、人類の抵抗勢力がかくまう。抵抗勢力のリーダーはモーフィアスといって、かれはネオ(トーマスの異名)が人類の救済者だと思い込んでいる。しかし、預言者の見立てでは、かれは救済者ではない。それでも、かれは自分の命をかけて、AIと戦うのだ。
まあ、そんな設定で、人類とAIとの壮絶な戦いが展開される。壮絶と言っても、人類の戦士はせいぜい10名ほどなので、そんなに大規模なものではない。ただ、AIには死ぬということがないので、人類は実に不気味な敵と戦わざるをえないのだ。その戦いを、ネオやモーフィアスまたトリニティといった人類の戦士が果敢に戦うのである。
トリニティもネオも超人的な能力をもっている。だから、AIの奴隷である人間相手では圧倒的に強いのだが、AI相手では苦戦を強いられる。なにしろ彼らは死ぬことがないのであるから、物理的に消滅させるほかはないのである。
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