ル・アーヴルに寄港するイギリス艦隊 ラウル・デュフィの世界

| コメント(0)
dufy25.englishsquadron.jpg

「ル・アーヴルに寄港するイギリス艦隊(La Visite de la flotte britannique au Havre)」と題されたこの絵は、デュフィの故郷であるル・アーヴルの光景を描いた作品。ル・アーヴルはドーヴァー海峡に面しているので、イギリスの船がよくやってきた。デュフィは子供のころからその眺めに親しんでいた。この絵には、そうしたデュフィの親しみの感情がよく表れている。

艦隊とはいっても、軍艦の集団には見えない。さまざまなタイプの船が見られるが、どれも民生用のようである。蒸気船よりヨットのほうが大きいのが面白い。この絵には、実在の大小差はほとんど考慮されていない。だいたい、海と陸の区別もない。船も人も勝手気ままに空間を占めている。

ブルーを基調にした色彩配置が強烈な印象を与える。グリーンを含めたブルー系の寒色を背景に、赤やオレンジなど暖色系の色を巧みに配置している。画面はかなり込み入っているが、色彩配置が単純なため、うるさくは感じない。

(1925年 紙に水彩とグアッシュ 40.3×60.3㎝)





コメントする

アーカイブ