幕が上がる 平田オリザ原作の青春小説を映画化

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2015年公開の映画「幕が上がる(本広克行監督)」は、平田オリザ原作の青春小説を映画化した作品。平田がかかわった高校の演劇活動をテーマにしている。女子高校生らが、演劇に身を捧げ、全国大会優勝をめざしてがんばる姿を描いている。主演のほか、有力な役柄を、当時人気のあったタレント・グループ「ももいろクローバーZ」のメンバーが演じているというので、評判になった。

平田自身の演劇活動については、想田和弘のドキュメンタリー映画「演劇」が紹介しているのでそれを見るとよい。この映画の中の高校生らの演劇活動にも、平田自身のそれが色濃く反映されているようである。平田の演劇の特徴は、自分の信念にしたがって一途に生きる人間を描くことにある。この映画の場合には、全国優勝を目指すあまり、大学受験への影響も顧みず、ただひたすら演劇に熱中する少女たちを描いている。その少女たちを、男女の教員が支える。なんといっても、大人の援助がなければ、まともにことを運べない年頃なのだ。

見ていて気になったのは、せりふ回しが堅苦しいことだ。これは日本の新劇の悪いところに惑わされているということだろう。発声が単調な上に、かなり不自然な言い方であり、日常の会話とはずれている。歌舞伎役者のほうがまだ自然な言い方をする。

生徒らを指導する教師を黒木華が演じている。黒木はいま放送中のNHK大河ドラマでは、すっかりふくよかになった印象だが、この映画の中では、体つきはほっそりとして、表情もしまっている。十年近い前のことだから、その十年の間には容貌の変化もあるだろう。






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