デュフィは馬が好きで、競馬場の絵を数多く描いている。かれが赴いた競馬場は、パリ周縁部にとどまらず、地方の競馬場や海外の競馬場にも足を運んで、レースやパドックの雰囲気を巧みに表現している。「ドーヴィル競馬場(Deauville, le champ de courses)」と題されたこの絵は、ノルマンディーの小都市ドーヴィルにある競馬場をモチーフにした作品。
レースが始まる前の、ウォーミングアップ中の馬たちをとらえる。騎手を乗せた馬のほかに観客らしい人々も集まってきている。地方の競馬場にはこのように寛いだ雰囲気のところがあったのだろう。
デュフィは、エプソムやアスコットといったイギリスの競馬場も描いている。競馬場は芝生の緑が鮮烈なので、かれの競馬場の絵はだいたいがグリーンにあふれている。この絵も例外ではない。
(1928年 カンバスに油彩 54.5×65㎝ パリ、国立近代美術館)
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