「静物(Nature morte)」と題されたこの絵は、デュフィの作品のなかでももっともデュフィらしさにあふれた作品。水彩画の特性を生かして、透明な色彩感覚と単純明快な線の組み合わせが、じつに軽快な印象をかもしだす。
画面ほぼ中央に果物を盛った鉢を置き、その周囲にワイングラスにフラスコ、そしてパンなどが描かれる。それらはおそらくテーブルの上に乗っているのだろうが、テーブルの輪郭は曖昧である。その一方で、果物やワイングラスの輪郭は明瞭に描かれている。
中景にテーブルと椅子、遠景に二つの家が描かれているが、前景と遠景との間に遠近感はない。ひたすら平面的である。
(1928年 紙に水彩 53×67㎝ プライベート・コレクション)
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