内藤瑛亮の2016年の映画「ライチ☆光クラブ」は、古屋兎丸の同名の漫画を映画化した作品。原作は半ぐれ少年たちの暴走ぶりを描く。九人からなるその半ぐれ集団は、独裁者を気取る少年を中心にして、大人たちの世界を否定する行動を楽しむ。だが、暴走しすぎて人を殺したり、仲間内でリンチ殺人を犯したりしたあげく、全員が死ぬというような荒唐無稽な筋書きである。
見どころは、ロボットが人間の心をもって、少女を愛するところだ。しかし、そのロボットは、コントローラーの言いなりになるところもある。もともと、独裁者の少年に忠誠を尽くすように設計されており、その独裁者に歯向かった瞬間に自爆するようにプログラミングされている。ロボットは、自分に少女を殺させた独裁者に反抗しようとし、その瞬間に爆死してしまうのだ。もっともロボットのことだから、死という言葉は適切ではないかもしれない。
そのロボットは、ライチの実をエネルギー源にしている。なぜライチかはわからない。この果物は、一時日本で人気を集めたが、いまではあまり食われなくなった。味が中途半端なのである。
半ぐれ少年たちが、大人を敵視するのは、大人が醜いからだ。かれらは自分らを純潔で高貴な生き物だと思っている。かれらの学校の女教師をリンチして、その女教師がはらわたを露出しながら死ぬ有様を、冷笑的な目で見ている。こんなはらわたが詰まっているやつは、生きている価値がないとかれらは思うのだ。
そんなわけで、かなり破壊趣味的な傾向を感じさせる映画である。
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