デュフィは、1907年30歳のときに結婚した。相手は、故郷ル・アーヴルの帽子店の店員ウジェニーだった。そのウジェニーの肖像画をデュフィはあまり多くは描いていない。デッサンの類は結構残っているが、この絵のような本格的な作品は少ない。かれら夫婦は仲が良くなかったというから、デュフィは妻をモデルにすることを控えたのであろう。
セルリアンブルー単色の背景に、ウジェニーの半身が浮かび上がって見える。彼女は黒い模様の上着と派手な色彩のスカートといういでたちで、椅子に体を沈め、両手を顎のまえで組み合わせてポーズをとっている。これらの模様はデュフィ自らデザインしたものといわれている。
大きな目玉が印象的。ほかのデッサン類のなかでも、ウジェニーは大きな目玉をぎらつかせているから、その目玉から我々は、彼女の強気な性格を感じる。
(1930年 カンバスに油彩 100×81㎝ プライベート・コレクション)
コメントする