アンフィトリテ(Amphitritē)は、ギリシャ神話の海神ポセイドンの妻である。ホメロスの「オデッセイ」では、海の巨大な生き物を従えていると描写されている。また、テーセウス神話では、ミノスに言われて海底にやってきたテーセウスを丁重に出迎えたことになっている。古来絵画の題材として好んで描かれてきた。海に君臨する女王というイメージが支配的である。
この絵の中のアンフィトリテは、海面に突き出た白い岩の上に座し、右手に法螺貝のようなものを持っている。彼女の周囲の海上には、さまざまなものが無秩序に配置されている。中には都市のようなものも見える。彼女の頭のまわりには、三角形の白っぽい物体が、雲霞のようにまとわりついているが、その正体はわからない。
同じような構図で、いろいろなバージョンがある。ポンピドゥー・センターにある大画面のものが有名である。
(1936年 カンバスに油彩 188×160㎝ プライベート・コレクション)
コメントする