バッハ頌 ラウル・デュフィの世界

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最晩年のデュフィは、好きな音楽家をモチーフにした絵を描いた。「バッハ頌(Nature morte au violon : hommage à Bach)」と題されたこの絵は、かれのバッハへのオマージュである。デュフィはモーツァルトにも深い関心を示しており、単純で健康的な音楽が好きであった。

真っ赤な壁紙を貼った部屋の中に、オルガンらしきものが置かれ、その上に黒いバイオリンが置かれている。どちらもバッハが愛用した楽器である。バッハ自身の姿は、抽象的に表現された顔が画面の中ほどに見えている。その顔を囲むように、さまざまな種類の花びらが舞っている。

右側の壁にも、花をあしらった静物画が架かっている。それがブルーで塗られているために、壁の赤との間に強烈なコントラストをかもしだしている。

(1952年 カンバスに油彩 81×100㎝ パリ、国立近代美術館)






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