マイケル・ムーア「キャピタリズム〜マネーは踊る」 アメリカ資本主義批判

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マイケル・ムーアの2009年の映画「キャピタリズム〜マネーは踊る(Capitalism: A Love Story)」は、アメリカの資本主義が抱える問題を追及したドキュメンタリー映画。折からリーマンショックが引き金になって、アメリカ経済は混迷を深めていた。この映画は、リーマンショックを引き起こした金融界の問題に迫ろうという意気込みを感じさせるのだが、ムーアには金融の知識はないらしく、資本主義システム一般を批判するものとなっている。かれによって資本主義はGMが代表しているので、リーマン・ブラザースはそっちのけで、もっぱらGMが攻撃の対象となる。GMの幹部はムーアの追求に対して、必要なら無制限にレイオフすると豪語する。そのGMが経営破綻すると、政府によって巨額の補償がなされる。それはおかしではないかとムーアは疑問を投げかける。我々を解雇した会社を、我々の税金で救済するのは筋違いだというのである。

アメリカの資本主義が強欲になったのは、レーガン大統領の頃からだとムーアは言う。レーガンは労働組合を敵視して、資本家の利益を優先した。資本家が海外に進出して、国内の労働力を省くようになったのは、レーガノミックスに促されてのことだ。ブッシュ倅の時代には、資本家寄りの姿勢は一層露骨になった。サブプライム問題が浮かびあがると、全米でローン未払者への過酷な取り立てが始まり、支払い能力のないものは容赦なく家を追われた。サブプライム問題もリーマンショックもブッシュ倅のときに起きたものだ。というわけで、ムーアはブッシュ倅に厳しい。

リーマンショックが起きた原因は、当時の財務長官ポールソンにあるとムーアは言う。ポールソンはゴールドマンサックスの出身で、アメリカの金融資本の利益のために仕事した。メリルリンチもアメリカ政府に大きな影響力を振るった。ゴールドマンサックスもメリルリンチもリーマン・ブラザースもユダヤ系資本だ。ムーアはそのことには触れていない。

映画の中にはバーニー・サンダースも出てきて、資本家の強欲を批判している。一方、オバマについては、資本家に篭絡された人間として描いている。ムーアは民主党贔屓のようだが、オバマは嫌いらしい。





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