黒い帽子の女 エゴン・シーレの世界

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「黒い帽子の女(Bildnis einer Frau mit schwarzem Hut)」と題されたこの絵は、シーレの妹ゲルトルーデの肖像画。シーレとゲルトルーデは非常に親密な関係にあって、シーレは彼女の肖像画を数多く描いている。この作品を描いたとき、シーレは19歳で、ゲルトルーデは15歳だった。

クリムトの強い影響を感じさせる。平面的で装飾的な画面。無地に近い背景から、女性の全身像が浮かびあがってくるのは、ダナエと同じような雰囲気を感じさせる。

ドレスを飾る目玉模様が印象的だ。その目玉が、赤とグリーンの下地から飛び上がってくるように表現されている。また、ゲルトルーデの表情も、幼さを感じさせながら、どこか精神的な雰囲気をたたえている。

(1909年 カンバスに油彩とメタリック絵の具 51×48㎝ プライベート・コレクション) 






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