
「闘士(Kämpfer)」と題されたこの絵は、シーレの自画像である。シーレは裸体の自画像を描くのが好きだった。自分の性器をいじっているポーズのものが有名だが、この自画像は自身を闘士に見立てている。
体を大きく折り曲げ、両腕を前後に振るいまわして、いつでも攻撃できる態勢をとっている。顔は相手のほうを向き、するどい目で見据えている。
この作品は、自画像とはいえ、自分自身へのナルシズムではなく、自分に対して不公平な社会への反発を表現しているようである。
(1913 紙に鉛筆とグアッシュ 48.8×32.2㎝ プライベート・コレクション)
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