ブレイクの挿絵

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地獄篇第二十二曲は、ダンテとヴィルジリオが悪鬼たちに案内され第五嚢のプールの畔を行くさまについて歌う。悪鬼たちの獰猛なことは、人間どものどんな凶暴な戦の様子も及ばないほどすさまじい。だから、プールの中の罪人たちは、彼らの災いを逃れようとして必死である。だが、そんな罪人の一人が、悪鬼によって熊手で絡め取られる。

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悪鬼の頭目が、手下の悪鬼どもに命じて、ダンテとヴィルジリオを第六の嚢への道を案内させようとする。ダンテは彼らを恐れるあまり、二人だけで行こうとヴィルジリオに提案するが、ヴィルジリオは恐れるなと言ってダンテを励ます。かくして二人は、悪鬼たちに案内されて出発するのである。

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群がる悪鬼たちの中に頭目と思しき悪鬼がいて、それにヴィルジリオが声をかける。ヴィルジリオは悪鬼に恐れを抱かぬが、ダンテの方は恐怖に囚われる。そのダンテに、他の悪鬼たちが襲い掛かろうとすると、頭目の悪鬼がそれを制止する。

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ダンテとヴィルジリオが更に悪鬼たちの様子を見ていると、悪鬼たちは、煮えたぎるプールに放り込んだ執政官を、スープの中の肉をフォークでつつくように、熊手でつついた。悪鬼たちは、その熊手をヴィルジリオにも向けたのだったが、ヴィルジリオは一向に恐れる様子を見せない。

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ダンテとヴィルジリオは続いて第五嚢へ下りてゆく。そこは、生前汚職で私欲を肥やした者どもが落されてきたところ。彼らは悪鬼によってここまで運ばれ、煮えたぎる瀝青のプールに放り込まれるのである。二人がそのプールの縁に立ったところ、一人の悪鬼が人間を肩に担ぎあげながらやって来て、その人間を煮えたぎる瀝青の中に投げ込んだ。

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ダンテとヴィルジリオは第四の嚢に至り、その上方から底の方を見下すと、奇妙な姿のものどもがうごめいていた。彼らの頭は、ねじで巻かれたように、後のほうへねじ曲がり、その顔は自分の胸ではなく背中の上に位置し、流す涙が尻の割れ目を伝って落ちるのだった。この者どもはみな、生前は霊媒だったものたちだ。

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マレボルジャの第三嚢は、聖物売買者たちの閉じ込められているところ。そこには、穴の開いた大きな石が至る所にあって、その穴の中に人間が逆さまに差し込まれている。そのため、石の上に覗いているのはふくらはぎばかり。それらは燃え盛る炎に焼かれている。そうした人間の一人がダンテの眼をひいたので、彼が誰であるかヴィルジリオに聞いたところ、ヴィルジリオは自分でその名を確かめろと言って、ダンテを抱きかかえてその人間の所に連れてゆく。

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ダンテとヴィルジリオが、橋を渡って第二の嚢に入ると、堤の眼下には糞尿で満たされた溝が広がり、そこに大勢の亡霊がうごめいていた。彼らは皆、阿諛追従の罪によってここに落されてきたのだった。その一人アレッショ・インテルミネにダンテが声をかけると、彼は自分の舌の災いによってここに落される羽目になったと認めた。また、一人の女の姿をヴィルジリオが指さし、この女は売女であったが、どの客にも心にもないお世辞をいったことで、ここに落されたのだと語る。

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地獄の第八圏はマレボルジャと言って、十の嚢に別れている。マレボルジャとは、「邪悪な嚢」という意味の言葉で、ダンテの造語である。本文にもあるとおり、円型の圏域全体の中心に深い穴があり、その穴の周りを、円周を重ねるようにして10の嚢が取り囲んでいる。ダンテたちは、其の円周状の嚢の一番外側の所に、ジェリオンの背中から降り立ったのである。

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ダンテとヴィルジリオは怪物ジェリオンの背中に乗って第八圏へと降りてゆく。ヴィルジリオがダンテの背後に乗り、ダンテを危険から守りつつ。

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ダンテらが第7圏から第8圏へと向かおうとするとき、下方(第8圏)から一匹の怪獣が上ってくる。その怪獣は、二人を第8圏へとぶために遣わされた使者だった。その怪物に乗って出発する前に、第7圏にうごめいている高利貸しの亡霊どもをよく観察せよとヴィルジリオに言われたダンテは、その者たちの側へと近づいてゆく。彼らをよく見ると、いずれもフィレンツェに縁のある高利貸しだった。

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熱砂の輪を通過すると、その先に滝の音が聞こえてきた。すると二人の前に三人の亡霊が現れ、輪を作ってグルグルとまわり始めた。この亡霊たちは、フィレンツェの人ヤコボ・ルスティクッチと、その仲間なのであった。とまどうダンテにヴィルジリオは、これらの人々に敬意を払いなさいと進める。その亡霊たちの求めに応じてダンテはフィレンツエの近況を伝えるのだ。

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二人はやがて真っ赤になって煮えたぎる流れの畔に着く。この川は、森から流れだし、熱砂を貫いて流れてゆくようである。ヴィルジリオは、この川が何処から流れて来るか、その由来について語る。

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亡霊たちの苦しんでいる様子をよそに、炎をどこ吹く風と涼しい顔をして、ふてぶてしく横たわっている者がある。テーベを攻略したギリシャ七王の一人カパネウスである。かれは神をないがしろにし、ゼウスも自分にはかなうまいと豪語した咎で、ゼウスの怒りに触れ、雷に打たれて死んだ。

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自殺者の森を離れたダンテとヴィルジリオは、熱砂の砂漠に入ってゆく。そこは第二の輪と第三の輪の境にあって、広大な砂の台地に火の雨が降り注ぎ、大勢の亡霊たちが、火攻めにあって苦しんでいた。それらの亡霊たちは、神や自然を冒涜した咎でここに落されてきたのである。

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ダンテらがヴィーニャの告白を聞いているそこへ、けたたましい声と共に、二人の亡霊が犬に追われて近づいてきた。そのうちの一人はすばやく茨と合体したが、もう一人は犬に身を引き裂かれ、バラバラにされてしまった。

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前回の自殺者の森の場面に続き、ダンテの本文は、神聖ローマ皇帝フリードリッヒ二世に仕えたピエル・デッラ・ヴィーニャの告白の場面に移る。

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ネッソに導かれて川を渡るうちに、ダンテたちは道のない森に入る。この森は、自殺した者たちが木に変身して立ち並んでいるところだった。その木の一つについて、ヴィルジリオにいわれるままダンテが小枝を折ると、木からは苦痛を訴える叫び声が聞こえてくる。

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ダンテたちはやがて、煮えたぎる血の川フレジェトンタに出る。そこには隣人に向って暴力を振るった者たちが浮かんでおり、それらを三体のケンタウロスが、目を光らして監視している。ケンタウロスたちは、ダンテを見て、ここは生きている者の来るところではないといぶかるが、ヴィルジリオが首領格のキロンを説得して、先へ進めるようにし、ケンタウロスのうちの一体ネッソがかれらを案内することとなる。ネッソは、この川に浮かんでいるさまざまな暴君たちを指さしては、彼らの行った悪行を説明する。

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第七圏へ下る行く手に崖があり、その一角にミノタウロスが立ちふさがっていた。ミノタウロスはクレテの王ミノスの子であるが、ミノスがポセイドンに生贄を捧げなかったことで怒りを買い、子どもを醜い怪物の姿にされてしまった。その姿は、半人半牛とされている。

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