読書の余韻

甲冑に身を固め、槍をかざして名馬ロシナンテに跨り、颯爽とラ・マンチャの草原を行くドン・キホーテ。いかにも英雄的なこの姿は、騎士物語を読んだあげく脳みそがからからになり、自分を憧れの騎士であると思い込んだ不幸な老人の自画像なのだ。
ジェルジ・ルカーチは筋金入りのマルクス主義者だから、彼の文学理論も革命的リアリズムを基調にしたものだろう、と誰もが思っていることだろう。だが、この革命的リアリズムというのがいまひとつ明確ではない。スターリンの仲間たちが喧伝した社会主義リアリズムは論外として、レーニンの文学理論は輪郭がいまひとつ定かではない。エンゲルスはハイネを熱愛したが、ハイネは文学史上ロマンティシズムの巨匠ということになっている。ところがロマンティシズムほど、リアリズムの対極にあるものはないとされている、という具合に。
Previous 1  2  3  4  5  6  7  8  9  10  11



最近のコメント

アーカイブ