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ボナールは、1909年以来毎年南仏を訪れ、明るい日の光を浴びた風景を描き続けた。「コート・ダジュール(Côte d'Azur)」と題されたこの絵は、そうしたものの一つ。南仏の海岸「コート・ダジュール」の風景をモチーフにしている。

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「いちごの皿(Assiette de fraises)」と題されたこの絵も、ボナール壮年期の静物画を代表する作品の一つ。皿の上に無造作に盛られたいちごの塊をモチーフにしている。構図が単純なだけに、色彩への配慮が行き届いている。

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「アイリスとリラ(Iris et lilas)」と題されたこの絵は、ボナールの静物画の代表作の一つ。ボナールは、1910年代の半ばごろからぼちぼち静物画を手掛けるようになった。ボナールの静物画の特徴は、強烈な色彩感である。輪郭はすべて、色彩の差異によって表現される。色彩相互は激しいコントラストを示す場合が多い。

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「グリーンのブラウス(The green blouse)と呼ばれるこの絵は、別名を「ヴェルノンの室内」ともいう。現在保存しているニューヨークのメトロポリタン美術館がこの作品を「グリーンのブラウス」と名付けているのだが、もともとは「ヴェルノンの室内」と呼ばれていた。日本ではそのほうで呼ばれることが多い。

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「田園交響楽(La Symphonie pastorale )」と題されたこの作品は、1916年から1920年にかけて制作されたボナールの大作である。もともと画商ベルネーム・ジュヌのコレクションとして、かれのアパートの壁を飾っていたという。ボナールの作品の中でも、傑作の呼び声が高い作品である。

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「シエスタ」とは、昼食後の昼寝のことだが、この絵では夕べの転寝を意味しているようである。題名に「シエスタあるいは夕べ(La sieste ou soir)」とあるところから、そう解釈される。画面の下部の中ほどに、安楽ベッドに横になった女が描かれ、それを二人の女が見守り、また、遠方の木の陰には別の少女が見つめている。二人の女の傍らには、黒い犬も控えている。まことにのどかな眺めである。

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「化粧(La Toilette)」と題されたこの絵は、ボナールの裸体画の傑作というべきもの。ボナールの裸体画といえば、「逆光の裸婦」が有名だ。「逆光の裸婦」は、光を利用して、印象派風の淡い色彩感を演出していたが、この作品でも、室内の柔らかな光の効果をつかって、淡い色彩感を強調している。使われている色そのものが、明るい中間色であり、その中で、黒が効果的なアクセントとなっている。

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グラースは、南仏カンヌの北方にある小さな町である。ボナールは、1909年以降毎年のように南仏の地中海沿岸地方に出かけ、強烈な光を楽しんでいた。「グラースのテラス(La Terrasse à Grasse)」と題されたこの絵は、グラースにおける滞在先の家のテラスからの眺めをモチーフにしたもの。

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「ヴェプレ醸造所内から見たクリシー広場(La place de Clichy vue de l'intérieur de la brasserie Wepler)」と題されたこの絵のモチーフは、ずばりタイトルどおり。ヴェプレ醸造所というのは、クリシー広場に面した酒場のことらしい。その酒場の内部から、クリシー広場を一望したというのが、この絵のモチーフである。

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「赤い市松模様のテーブルクロス(La nappe à carreaux rouges)」と題されたこの絵は、副題に「犬と一緒の朝食」とあるように、赤い市松模様のテーブルクロスと犬がモチーフ。赤い市松模様を、ボナールは非常に気に入っていて、その模様のテーブルクロスを何度も描いたばかりか、モデルの衣装にも採用している。ボナールの市松模様好みには、かれの日本趣味が反映しているのだろうと思われる。

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「オウムを手にした女(La Femme au perroquet condense des visions du Maghreb et de la Côte d'Azur)」と題されたこの絵は、「マグレブとコート・ダジュールのヴィジョンを凝縮する」とあるように、地中海の雰囲気を表現したものなのだろう。オウムを手にした女は、エキゾチックな雰囲気を感じさせるから、北アフリカを想起させるし、背後の青い海は、コート・ダジュールをイメージさせるというつもりか。

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「逆光の裸婦(Nu à contre-jour)」と題されたこの絵は、ボナールの作品のうち、おそらく最も有名なもの。それにしては、皮肉なことに、ボナールの持ち味である色彩の過剰ではなく、印象派風の光がこの絵の肝である。ボナールを印象派のメンバーに含める見方は、この絵の迫力によるものだろう。

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「桟敷席(La Loge)」と題されたこの作品は、画商アレクサンドル・ベルネームの依頼を受けて制作したもの。ベルネームは、ボナールに家族の肖像画を複数依頼したのだったが、これはそのうちの一点。ベルネームの妻と二人の息子、それに従妹の女性がモデルである。

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パリのクリシー広場は、モンマルトルの西隣にある賑やかな場所である。この広場の活気あふれる眺めを気に入ったボナールは、ここをモチーフに一連の作品を手掛けた。「クリシー広場の緑の市電(Le tramway vert de Place Clichy)と題されたこの作品は、シリーズを代表する一点である。

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1900年代の半ばごろから、ボナールは豊かな色彩を取り戻していく。「ポン・デ・ザール(Le Pont des Arts)」と題されたこの作品は、1905年に描かれたものだが、色彩的な豊かさを感じさせる。もっとも、寒色主体であって、暖色を主体とした初期の作品とは、かなり違った趣に見える。

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1890年代半ば以降のボナールは、画面が暗くなるとともに、構図も平板になる。平板な構図で暗い画面の絵というのは、迫力を感じさせない。じっさい、この時期のボナールは、ナビ派の仲間と比べても精彩がなかった。

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1890年代半ば、ボナールの絵は暗い画面が多くなる。「クロッケー・パーティ(La partie de croquet)」と題されたこの作品は、1892年のものだが、早くも暗い画面への移行を感じさせる。この暗い時代というべきものは、以後十年近くもつづくことになる。

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シャンペン・メーカー「フランス・シャンパーニュ」がポスター作製依頼のコンペを催し、それに応募したボナールは、このポスター「フランス・シャンパーニュ(France Champagne)を制作し、それを100フランで買い取ってもらった。その頃(1890年前後)、ボナールはほかにもグラフィック作品を手掛けている。

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「演習(L'exercice)」と題されたこの作品は、軍隊の演習をモチーフにしたもの。ボナールがどういった動機から、軍事演習を描く気になったか、よくわからない。小品であるし、ちょっとした気まぐれから描く気になったのだろうか。

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ボナールの初期の絵の特徴は、色彩の鮮やかさと日本趣味である。色彩の鮮やかさは、ナビ派の他の画家たちも共有しており、それはかれらがゴーギャンを手本にしていたことによる。一方日本趣味は、ボナール独自のもので、構図の様式性・装飾性によくあらわれてる。

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