「中国の花瓶にさした花(Bouquet de fleurs dans un vase chinois)」と題されたこの絵は、タイトルにあるとおり中国製の磁気の花瓶にいけられた花をモチーフにしたもの。白磁の光沢のある肌が、深紅の背景から浮かび上がり、その上に花々が押し重なるようにして広がっている。晩年のルドンの一連の静物画の中の傑作というべきものである。
「ルッジェーロとアンジェリカ(Roger et Angélique)」と題されたこの作品は、イタリア16世紀の詩人アリオストの叙事詩「狂えるオルランド」に取材したもの。原作はまったく架空の話である。ルッジェーロとアンジェリカにかかわる話は、その一部。異国(キタイ=中国)の姫アンジェリカが、海の怪物のいけにえとなり、とらわれようとするところを、姫に思いをよせる青年ルッジェーロが、鷲の頭をもった馬にまたがり、怪物を退治するという内容。
アポロンは、ギリシャ神話の太陽神である。太陽が東の空から出て天空を移動し、やがて西の空に沈んでいく様子を、ギリシャ神話では、アポロンが四頭立ての馬車に乗って天空を駆けるイメージで表現した。「アポロンの馬車(Le char d' Apollon)」と題されたこの作品は、そうしたギリシャ神話のイメージをあらわしたものである。
ルドンは、シェイクスピア劇の有名なキャラクター、オフェリアをモチーフにした作品をいくつか作っている。その中には、水に浮かんで流される、よく知られたイメージのものもある。「花の中のオフェリア(Ophelia parmi les fleurs)」と題されたこの絵は、花の中というよりは、花を前にしてそれを見上げる姿のオフェリアを描いたものだ。
最近のコメント