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ジャン・シメオン・シャルダン(Jean-Baptiste Siméon Chardin 1699-1079)は、ロココ時代に活躍した画家であるが、いわゆるロココ風とは一線を画し、静物画や風俗画といった卑近な画題について、極めてリアリスティックな画境を追求した。時代の流れとは離れていたわけである。しかしどういうわけか各方面から高い評価をうけた。ロシアのエカテリーナ女帝が、サンクトペテルブルグの宮殿を、かれの作品で飾ろうとしたことは有名な逸話である。

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ポンパドゥール夫人は、フランス国王ルイ十五世の公妾として、宮廷サロンを主宰し、学者や芸術家を庇護したことで知られる。フランスのロココ文化の華というべき女性である。もともと平民の出身であり、徴税請負人と結婚したのであったが、美しい女に目がなかったルイ十五世の心をとらえ、夫と別居して、国王の妾となったのであった。

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「ヴィーナスの化粧(La Toilette de Vénus)」は、かつてポンパドゥール夫人の浴室兼化粧室の壁を飾っていた。「水浴のディアナ」もその部屋に一緒に飾られてあったという。この絵は、三人のキューピッドを従えたヴィーナスをモチーフにしている。ヴィーナスは、ブーシェ得意のモチーフで、繰り返し手がけている。

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「水浴のディアナ(Diane sortant du bain)」と題されたこの作品は、「ヴィーナスの勝利」と並んで、ブーシェの最高傑作というべきもの。1742年のサロンに出展され、その際には「女従者とともに水浴を終えるディアナ」と題されていた。その後、簡略化され、「水浴を終えるディアナ」となった。日本では「水浴のディアナ」と呼ばれる。

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「ヴィーナスの勝利(Le Triomphe de Vénus)」と題するこの作品は、ブーシェの最高傑作と呼ぶべきもの。かれはこれを1740年のサロンに出展した。その後、スウェーデンの駐仏大使で美術収集家だったカール・テッシンに買い取られ、更にスウェーデンの国家予算で買い取られた。テッシンが発注したとの説もある。

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ブーシェは、神話や伝説に題材をとった優雅でかつ壮大な作品が得意だったが、同時代の風俗を描いた作品もある。「昼食(Le déjeuner)」と題されたこの作品は、かれの風俗画の代表的なもの。ブルジョワ家族の昼食の一コマを描いている。

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ヴィーナスとその夫ヴォルカンをモチーフにした作品を、ブーシェはいくつも作っている。年代も長きにわたっている。「ヴィーナスとヴォルカン(Vénus et volcan)」と題したこの作品は、もっとも初期のもの。ローマ賞を受賞した翌年の1732年に制作している。

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フランソワ・ブーシェ(François Boucher 1703-1770)は、ヴァトーより一世代後の、ロココ最盛期を代表する画家である。芸術上の運動としてのロココは、フランスの宮廷を中心として発展したのだったが、ヴァトー自身は、民間のパトロンの庇護を受けるにとどまり、宮廷社会とは距離があった。それに対してブーシェ、宮廷の厚い庇護を受け、いわば宮廷画家としての名誉を享受した。その画風は、ロココのなかでももっともロココらしいといわれるように、華麗で絢爛なものであった。

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パリスの審判はギリシャ神話に取材したモチーフで、ルネサンス以降多くの画家が描いてきた。有名なものとしては、クラナッハとルーベンスのものがある。両者とも、ヴィーナス、ミネルヴァ、ジュノーの三人を並べて描いている。それに対してヴァトーのこの作品は、ヴィーナスに焦点が当てられ、ほかの二人の女神はわき役に撤している。

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アントワーヌ・ヴァトーの作品「ジェルサンの看板(Enseigne de Gersaint)」は、彼の晩年の傑作であり、「シテールへの船出」と並んでフランスロココ美術の頂点をなすものとの評価が高い。

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「フランス喜劇の恋( L'amour au Théâtre Français)」は、ヴァトーの数多くの演劇趣味のうちの一作。舞台上と思しき場所に、劇団の一座が集合した場面。よく数えていると、劇団員は16人いて、それらが半円状に並んでいる。その中心にいるのは、画面やや左手に立っている女性。彼女の視線の先には色男がおり、彼女とその色男のやりとりを、まわりのものらが見ているという構図である。

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「田園の楽しみ(Fête galante)」と題されたこの作品は、田園にピクニックに出かけた若い男女たちを描いたもの。多くのカップルたちが、森の中の空地に腰掛け、思い思いにくつろいでいる様子を描く。「シテールへの船出」とはまた異なった趣の田園趣味を表現した作品である。

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「シテールへの船出(L'Embarquement pour Cythere)」は、ヴァトーの代表作であるのみならず、ロココ芸術を代表する傑作である。ロココ的な典雅な雰囲気がもっとも豪華絢爛に表現されている。ヴァトーはこのモチーフを二点制作しており、パリにあるものが最初に作られ、その一年後にベルリンにあるものが作られた。

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「愛の調べ(La gamme d'amour)」と題するこの作品は、田園を背景に人物の優雅な仕草を描くというヴァトー得意のモチーフである。木の根株に座った男がギターを弾き、その隣に女が腰を下ろして男の顔を見つめている。女は楽譜らしいものを持っているが、それは小道具としての扱いに過ぎない(あるいは男がその譜面に見入っているという解釈もある)。

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「驚き」の画面の中にいたメズタン(メッツェティーノ)を単独でフィーチャーしたのがこの作品。メズタンは、一人で公園のベンチに腰掛け、ギターを弾いている。だが、よく見ると、彼の視線は上方のバルコニーらしき方向へ注がれている。もしかしたら、メズタンはバルコニーにいる恋人に愛の歌を贈っているのかもしれない。

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ヴァトーは、コンメーディア・デッラルテと深いつながりがあったようで、座付き役者たちの演技をモチーフとした作品をいくつも制作している。「驚きLa  Surprise」と題されたこの作品もその一例である。

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ヴァトーは、喜劇役者をモチーフにした作品をいくつも制作している。フランスの喜劇一座やイタリアの有名な喜劇一座「コンメーディア・デッラルテ」もモチーフに取り上げている。「ピエロ」あるは「ジル」とよばれるこの作品は、喜劇役者をモチーフにしたものとしては、最も早い時期のものである。

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「無関心(L'Indifférent)」と題されるこの作品は、「ラ・フィネット」とともに一対をなすものとして見られることが多い。どちらも非常に小さな画面に人物の姿を描いており、ほぼ同時期に描かれ、また同じころにルーヴルに収蔵されたからだろう。

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「ラ・フィネット(La Finette)」と題するこの絵は、フィネット布のドレスをまとった若い女性の肖像。フィネットは、絹を素材にした繊細な布地のこと。その布地で編んだドレスを着た若い女のモデルはわからない。「眺め」の画面でポーズをとった人々と関係があるのかもしれない。

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「気恥ずかしい申し出(La Proposition embarrassante)」と題するこの作品は、ヴァトーの雅宴図の初期の傑作。雅宴図の定石通り、野外で宴会服を着た人々が、思い思いにピクニック気分に耽っている場面を描いている。

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