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デュフィはビジネスの才能もあって、自分の絵をリトグラフで印刷して大量販売した。「窓の開いた室内(Interieur a la Fenetre ouverte)」と題されたこ絵は、そんなリトグラフの傑作。これはポスター・サイズで、一般の美術愛好家が室内に飾るのに適している。

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「ニースのカジノ(Casino a Nice)」と題されたこの絵も「ニースの桟橋」におけると同じカジノをモチーフにしている。デュフィはこのカジノの眺めがよほど気に入ったと見えて、実に沢山の作品を描いている。リトグラフも作っている。

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「ニースの桟橋(La jetée, promenade à Nice)」と題されたこの絵は、カジノで有名なニースの海岸風景を描いた作品。ニースはイタリアとの国境に近い地中海の沿岸の町。近くには映画祭で有名なカジノ都市カンヌや、やはりカジノで有名なモナコがあるので、このあたりはカジノの天国といってよい。

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「ル・アーヴルに寄港するイギリス艦隊(La Visite de la flotte britannique au Havre)」と題されたこの絵は、デュフィの故郷であるル・アーヴルの光景を描いた作品。ル・アーヴルはドーヴァー海峡に面しているので、イギリスの船がよくやってきた。デュフィは子供のころからその眺めに親しんでいた。この絵には、そうしたデュフィの親しみの感情がよく表れている。

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1920代の前半にデュフィは馬をモチーフにした作品を数多く手がけた。「サーカスの馬(Chevaux de cirque)と題されたこの絵は、その代表的なもの。これは、紙にアクリル絵の具で描いたものだが、ほかにカンバスに油彩で描いたものもある。こちらのほうが、当時のデュフィの画風をよくあらわしていると思われる。

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1910代の後半から1920年頃にかけて、デュフィーは自分自身の独自の画風の確立に取り組んでいた。それはキュビズムやフォーヴィズムあるいは表現主義といった運動とは一線を画して、自分にしか描けないような絵でなければならなかった。「ヴァンスの噴水(La fontaine de Vence)」と題されたこの絵は、そうした努力から生まれたものである。

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デュフィはモーツァルトを敬愛していて、十数点の「モーツァルト頌」を制作している。1915年のこの作品は水彩画で、かれのモーツァルトへの敬愛がよく表現されたものだ。これを描いた頃のデュフィは、自分自身の画風の確立に向けて試行錯誤を続けていた。それまでは、表現主義の雰囲気を濃厚に感じさせるものが多かった。この絵には、それとは違った軽快さがうかがわれる。

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「青い騎士(Le cavalier bleu)」と題されたこの絵は、タイトルからして、ドイツ表現主義を連想させる。アウグスト・マッケやエミール・ノルデらが1911年に結成した表現主義運動は「青い騎士(Blaue reiter)」と称していた。デュフィはそれに敬意を表してこの絵を描いたのであろう。

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「バラ色の服を着た夫人(La dame en rose))と題されたこの絵は、表現主義のほかにゴーギャンやゴッホの影響を感じさせる。明瞭な輪郭線とか、どぎついほどの色彩表現である。表現主義自体に、ゴーギャンとかゴッホにつながるものがあるから、これは不思議ではない。

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1910年ごろに、デュフィの画風に変化が起こった。それまでのキュビズムへの傾斜に加えて、ドイツ表現主義の影響が見られるようになった。かれは1909年にフォーヴィストのフリエスとともにミュンヘンを訪れ、そこで表現主義に接したようである。フリエスのほうも、1911年ごろから表現主義者の集まりベルリン分離派と交渉するようになった。かれらは二人ともども、表現主義に影響されたようである。

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デュフィのキュビズムへの関心は、1907年のサロン・ドートンヌでセザンヌの回顧展を見たことで搔き立てられた。かれはル・アーヴルの出身で年下の画家ジョルジュ・ブラックと、セザンヌを手掛かりにしてキュビズムを研究した。ブラックはすでに1906年からセザンヌの研究にとりくんでいて、そこからキュビズムの可能性について自覚しつつあった。

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「旗で飾られた通り(La Rue pavoisée)」と題されたこの絵は、デュフィのフォーヴィズム期の代表作の一つ。彼の故郷ル・アーヴルの街の様子を描いている。旗が飾られているのは、革命記念日を祝ってのことである。かれは1906年の夏に故郷のル・アーヴルに滞在し、7月14日の革命記念日の様子を描いたのであった。この時には友人の画家マルケも同行していて、やはり同じような構図の絵を描いている。

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デュフィは、フォーヴィストとして位置づけられることが多い。印象派から脱してフォーヴィズムに興味を抱いたのはたしかで、かれの画壇へのデビューもフォーヴィストのデビューに重なっていたので、そう見なされることには不自然さはない。しかし、かれがフォーヴィズムにかぶれていたのは一時期のことで、すぐに他の画風への転換を模索した。しかし、色彩や構図などについてフォーヴィズムの影響はかなり強かったと思われる。

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若い頃のデュフィは、色々な画風に挑戦した。まず、印象主義の影響を受けた。ついで、マチスらのフォーヴィズム、ブラックに啓発されてキュービズムへの傾斜、そしてドイツ表現主義の影響。これらの影響を踏まえてデュフィは自分自身の独自の画風を確立していくのである。

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晩年のフリーダは車椅子生活になり、しかも死の前年1953年には右脚を切断するなど、きわめて困難な状況に陥ったので、大作は描けなくなった。そういう中で渾身を振り絞って制作したのが「マルクシズムは病を癒す(El marxismo dará la salud a los enfermos)」と題されたこの絵である。若い頃からマルクス主義者を自認していたフリーダは、晩年ますますマルクス主義に自覚的になった。この絵には、マルクス主義者としての、自分自身の信念が込められている。

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フリーダは、1950年に受けた脊椎手術がうまくいかず、車椅子生活を余儀なくされた。そんなわけで、大作に取り組みことができなくなり、身近な対象を描いた静物画が多くなった。晩年のカーロが描いた静物画には果物を描いたものが多い。「生ける自然(Naturaleza Viva)」と題されたこの絵は、カーロ晩年の静物画を代表する作品である。

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「愛の抱擁(El abrazo de amor de entre el Universo, la Tierra, yo, Diego y el señor Xólotl)」と題されたこの絵は、かなり複雑な構造になっている。正式なタイトルには、「宇宙、地球、私、ディエゴ、セニョール・ショロトルの愛の抱擁」とある。宇宙と地球はシンボリックに表現されている。一方、私はディエゴを抱いた姿で表現されている。では、セニョール・ショロトルはどう表現されているか。ショロトルは、アステカ神話に出てくる双子である。とすれば、私とディエゴを抱えているものと、その背後にあって画面いっぱいに腕を広げているのがその双子なのだろうか。

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「太陽と生命(El Sol y la Vida)」と題されたこの絵は、自然の豊饒さへのフリーダの憧れを表現したものだと解されている。フリーダ自身は、事故のために子を産めない体質になってしまったが、子を持つことへのこだわりを捨てることができなかった。この絵には、そうしたフリーダの複雑な気持ちが込められている。

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フリーダは、1946年にニューヨークで脊椎の手術を受けた後、1950年にはメキシコで七回に及ぶ手術を受けている。手術は彼女の体を回復するには及ばず、1953には片足の切断という苦痛に直面した。彼女が死んだのは1954年、47歳のときであった。

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「希望の木(Árbol de la esperanza mantente firme)」と題されたこの絵も、ニューヨークで受けた手術を回想した作品。彼女はこの絵を、パトロンのエドゥアルド・モリージョ・サファのために描いたのだったが、創作意図については、アレハンドロ・ゴメス=アリアス宛ての手紙の中で述べている。その中でフリーダは、手術の結果背中に巨大な傷ができたと嘆いている。

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