「平和のしるしとして共和国に挨拶に来た諸大国の代表者たち(Les représentants des puissances étrangères venant saluer la République en signe de paix)」と題するこの作品は、1907年のアンデパンダン展に出展された。大変な評判となり、絵の前には大勢の人だかりができたという。そして見る者はみな腹をかかえて笑ったそうである。たしかに、この絵には、人を馬鹿にしたようなところがあり、それが人々の笑いを誘ったのであろう。
「第22回アンデパンダン展への参加を芸術家に呼びかける自由の女神(La Liberté invitant les artistes à prendre part à la 22e exposition des Indépendants)」は、タイトルどおり1906年の第22回アンデパンダン展の宣伝ポスターのような意味合いで描いた作品。ルソーがなぜこんなものを制作したのか、正確なところはわからないが、アンデパンダン展はルソーにとってほとんど唯一の作品発表の場であり、その名声があがることは、自分にとっても都合のよいことだったので、あえてそれを宣伝して見せる気になったものと見える。
ピカソがルソーに深い敬意を表していたことはよく知られている。ピカソはその敬意の印として、大勢の友人を集めた夜会を開き、そこにルソーを招いた。美術史上有名な1908年のピカソのアトリエの夜会である。その夜会の席では、会場のもっとも目立つ場所に、ルソーの「女性の肖像(Portrait de femme)」という絵が飾られた。ピカソはこの絵を、ジャンク市場でたった五フランで買ったのだが、それ以来大事にしていた。いまでもピカソ美術館に保存されている。
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