世界情勢を読む

雑誌「世界」の最近号(2019年2月号)に、バーニー・サンダースが昨年九月にある大学で行った演説が紹介されている。バーニー・サンダースといえば、前回の米大統領選で、民主党候補の座をヒラリー・クリントンと争った人物だ。社会主義者を標榜しており、その主張はかなり急進的だとの評判だが、この演説を読む限り、あたり前のことを言っているように聞こえる。

ドナルド・トランプとアメリカ・メディアが正面から対立していることは周知の事実だ。トランプはメディアをフェイクニュースと言って罵り、メディアはトランプを不誠実なデマゴギーだと言って罵っている。両者はいわば正面衝突の観を呈している。この正面衝突あるいは対立の勝者はどちらのほうか。答えはドナルド・トランプである。その理由を、NEWSWEEK の最新号の記事が分析している(President Trump Has Defeated The Media By Ben Shapiro)。

トランプが最高裁判事に指名したカヴァナフのセックス・スキャンダルが大騒ぎになっている。この問題には小生も大きな関心をもっていて、先日旅したロシアでも、友人たちの前にこの話題を持ちだしたところだ。その際、友人の一人はそんな話は聞きたくないと言ったものだが、小生としてはそう簡単に無視するわけにもいかない。

トランプの対中国政策が過激さを増している。中国からの輸入に全面的に関税をかけることで、中国との経済戦争に点火させることをいとわないばかりか、最近は政治的・軍事的側面でも対中国全面対決をにおわす政策を打ち出している。中国を意識した国防力の強化や、リムパックから中国軍を全面的に締め出すといった政策だ。こうした政策を目のあたりにすると、トランプは本気で対中戦争に踏み切るつもりではないかと思わされるところだ。

モラー特別検察官の捜査が本丸に入りつつあるのを目にして、トランプが苦し紛れの言い訳をしだした。自分はロシアと共謀したつもりはないが、仮に共謀したとしても、それは罪ではないというのだ。こういう言い訳を聞かされると、最近日本でも似たようなことが起ったのを思い出す。日本では、セクハラ疑惑で批判された部下をかばうために、上司の某財務大臣が、セクハラは罪ではないといって、あたかもセクハラを推奨するようなことを言った。今回のトランプの言い訳もそれに似ている。ロシアとの共謀は罪ではないのだから、それをしたからと言って、とやかく言われることはないというわけである。

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アメリカがエルサレムに大使館を移転したことがきっかけでパレスチナに緊張が高まり、ガザの住民がイスラエル軍に攻撃された。死者は六十人以上、負傷者は二千七百人以上と言われ、近年では最大規模の犠牲が出た。テレビ報道等で流れてくる映像を見ると、生まれたばかりの子どもまで標的になっているこの虐殺は、ホロコースト以外の何物でもないと感じさせられる。

トランプが在韓米軍の縮小を検討するよう指示したとニューヨークタイムズが伝えた。どの程度縮小するのか、あるいは完全に撤退するのか、そこまではまだ伝わってこない。しかし、何らかの形の縮小はありうると考えていいようだ。

最近アメリカはロシアに対して厳しい制裁をかけているが、トランプはプーチンとの個人的友好関係の維持に熱心なようだ。3月20日には、ホットラインを通じてプーチンと親しく対談し、その中で、なるべく早くプーチンをホワイトハウスに招待したいと言った。プーチンもそれに応えて、トランプをクレムリンに招待したいと言ったそうだ(RIAノーヴォスチ通信による)。

習近平政権が中国憲法を改正して国家主席の任期を無期限としたことに対して、アメリカのトランプ大統領が早速エールを送って祝福した。これで習近平は中国の終身支配者になることができて、おめでとうというわけだ。そのエールの言葉は例によってツイッターでつぶやかれたが、それはトランプの本音だろうと多くの人が思っている。

大統領選を直近に控えたプーチンが、自国民と世界向けの演説を行い、その中で軍事力の強化を訴えた。その主な内容は、欧米のディフェンス・システムを突破する能力を持つ核弾道ミサイルの開発に注力するというものだ。このミサイルはアメリカからの迎撃をかわして、世界中の標的を確実に攻撃できる。また、ロシアに対しては無論、ロシアの同盟国への攻撃には、ロシアは断固として反撃する。世界中の国々、とくにアメリカはロシアのこの決意を厳粛に受けとめた方が良い。プーチンはそう言って、ロシアの軍事力の充実を誇った。

トランプ登場の陰にはアメリカの福音主義者たちの圧倒的な支持がある。福音主義者というのは聖書に書いてあることこそが真実であり、それに反することは虚偽であると主張するばかりか、本気でそう信じている人たちである。アメリカ人の四分の一がこうした福音主義者であるとされるが、社会が安定している時にはあまり政治化することはない。ところが社会が不安定になったり、人々の不満が高まったりすると、一気に政治化する。その政治化の動きがトランプ登場の大きな引き金となったわけだ。

トランプ政権が「フェイクニュース賞」なるものを発表した。一位は日ごろトランプを舌鋒鋭く批判している経済学者のポール・クルーグマンで、彼にコラムを提供しているニューヨークタイムズ始め、トランプに批判的な報道をしているメディアが顔をそろえた。「安定した天才」を自負する大統領からこのような賞をもらった人々はどのような気持ちだろうか。

韓国の主導で南北会談が催され、両国の融和ムードが演出される中で、アメリカのトランプ大統領はこれを歓迎するかのような反応を見せているが、アメリカ国内にはこの動きを苦々しく見ている者が多いようだ。彼らに共通しているのは、この融和によって北朝鮮への圧力に向けた国際的な包囲網が崩れ、その結果北朝鮮に核ミサイル開発への時間的な余裕を与えることで、アメリカの安全保障が著しく損なわれる恐れだ。彼らはこの恐れを理由にして、北朝鮮がアメリカを標的にした核ミサイルを完成させる前に、北を先制攻撃すべきだと主張している。ニューズウィークの日本版に寄せられたエドワード・ルトワック署名の記事などはその代表的なものだ。

先日FOXニュースのブライトバート化について言及したが、ブライトバート化することによってFOXニュースは、なりふりかまわずトランプを擁護しているとの印象が強まっているのは事実のようだ。そればかりではない、FOXニュースのおかげでトランプは、政治的な危機を幾分やわらげられてもいる。もしFOXニュースが大々的にトランプを擁護しなかったら、トランプは今頃倒れていただろう。そこが同じ大統領のスキャンダルでもニクソンとは違う事情が働いている。言葉を換えれば、もしニクソンの時代にFOXニュースのようなものがあったら、ニクソンは生き延びたかもしれない。

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今年はロシアの大統領選が予定されているが、いまのところプーチンの勝利は揺るがないと見られる。プーチンの最大の政敵であるナヴァーリヌイが立候補できなくされているし、そのほかに脅威となるようなライバル政治家が見当たらない。プーチンが今年の大統領選に勝てば、首相時代の四年間を含めて、およそ四半世紀にわたってロシア政界に君臨することになる。

FOXニュースといえばもともと保守的なスタンスをとっていて、オバマ時代には政権に対して批判的だったが、トランプが政権をとるや、俄然トランプ寄りの姿勢を明確にしてきた。トランプの方では、CNNなど自分に批判的なメディアに対しては「フェイク・ニュース」と言って攻撃する一方、FOXニュースについては親和的な態度を示し、ニュースソースも優先的に提供しているといった具合で、蜜月状態が生じている。最近ではその蜜月状態が、腐れ縁のべったり関係にまで昇華し、とくにデジタル部門を中心に、トランプさまさまの報道を垂れ流している。そのさまが、あのブライトバートも顔負けだというので、FOXニュースのブライトバート化が方々で云々されるようになっているらしい。

メキシコでは、ギャングのボスが警官の首に懸賞金をかけたというので、ちょっとした騒ぎになっているという。懸賞主はメキシコの有力な麻薬マフィア、ハリスコ新世代カルテルのボス、ヴァルデスだ。ヴァルデスは、地元警察の幹部カペラの首に100.000ペソ(約5.000ドル)の懸賞金をかけたそうだ。メキシコでは、私的な恨みを晴らすために懸賞金をかけることがよくあり、その懸賞金は有効に使われるケースが多いそうだから、今回も懸賞金をかけられたカペラの首はほぼ間違いなくはねられるだろうともっぱらの噂だ。

米上院のアラバマにおける補欠選挙で、民主党の候補者ダグ・ジョーンズが共和党のロイ・ムーアを破り、民主党に四半世紀ぶりに上院の議席をもたらした。アラバマと言えば、先の大統領選において、トランプがヒラリーに28ポイントの差を付け、圧倒的な勝利を収めた州であり、アメリカの中でも最も共和党の基盤が強いと言われる。そこで民主党が勝ったことの意味は大きい。というより共和党の負けた意味は大きいと言うべきだろう。というのもこの選挙は、共和党のオウンゴールのようなものだったからだ。

膨大な数の犠牲者を出したラス・ヴェガスの銃乱射事件が、アメリカにおける銃規制のあり方についての議論を活発化させたが、どうやら今回も尻切れトンボの幕切れとなって、銃規制が本格的に進む見込みはないようだ。何しろ今回の事件は、今年に入って以来複数の死者を出したマス・シューティングとしては273番目の事件だというのに、ということは毎日のようにアメリカのどこかで銃乱射事件が起きていると言うのに、それを規制しようという議論が一向に本格化しないのは、我々日本人の目には異様に見える。

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あたりかまわず気に入らない連中と衝突を繰り返しているトランプが、今度はスポーツ選手と深刻な対立を起こしているというので、芸能ネタとしてはちょっとした話題になっているようだ。きっかけはいつもの通りツイッターでの発言。最近彼が観戦したNFLの試合で、一部選手がNational Anthemの際にKneelingをしているのはけしからん、そんな奴は首にしてしまえと書いたところ、NFL はおろかスポーツ界の有力選手から次々とブーイングが沸き起こったというのだ。

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