コロナウィルス予防の目的で、抗マラリア剤のハイドロクシクロロキンを、トランプが毎日飲んでいると明かしたことが大きな話題になっている。というのも、この薬品はコロナウィルスに有効だと証明されたわけではなく、一方重大な副作用が懸念されているからだ。
世界情勢を読む
トランプがホワイトハウスでの定例の記者会見の場で、コロナウィルスへの自らの対応ぶりを、例によって自画自賛したところ、それを批判した女性記者に激怒して、会見を中断して立ち去ったということを、時事新報を始め日本のメディアも紹介し、中にはトランプの唯我独尊的な姿勢を批判するものもあったが、日本のメディアが全く取り上げないことを、アメリカを含めた欧米のメディアは報じている。それを読むと、小生は、日本のメディアの特異性を感じないではいられなかった。
第一次世界大戦終了後、ヴェルサイユ条約によって、敗戦国の処分についての大枠が決められ、オスマン・トルコは領土(支配地域)の大半を奪われることとなった。すなわちアラブ人地域の大部分が、サイクス・ピコ密約にしたがって、英仏の間で分割されることとなったのである。その割り当てを具体的に決めたのが1920年4月のサンレモ会議であった。この会議の結果、シリアとレバノンの地域がフランスに、トランスヨルダンを含むパレスチナとイラクの地域がイギリスに割り当てられた。これは、統一した独立国家を夢見ていたアラブ人を裏切るものであり、また、アラブ世界の中に人工的な国境線を引くものだった。それまで、アラブ地域では、部族による分断はあったものの、国境という概念はなかった。そこに英仏が、恣意的な形で、つまり自分たちの都合に合わせて、人工的な国境を引いたわけである。
第一次世界大戦は、パレスチナを含むアラブ世界に甚大な影響を及ぼした。この地域を支配していたオスマン・トルコはドイツ、オーストリアの側について、イギリスやフランスと戦ったのであったが、その戦いに敗れたために、広大な支配圏を失い、その後を英仏両国が埋めることになった。アラブ世界は、オスマン帝国の支配から解放されて、英仏領国の帝国主義的侵略の対象とされたのである。したがって、アラブ世界は世紀の転換を経験することとなったわけだが、なかでもパレスチナ地域の被った転換はもっとも大きなインパクトをもった。
コロナ騒ぎをめぐって、トランプの中国攻撃が激しさを増している。大した根拠も示さず、コロナウィルスは中国で人為的に作られたと触れ回り、それを根拠に責任を取らせようとしている。それには損害賠償要求も含むという。こうした中国攻撃が、自分自身の政治的責任を棚上げする目的からなされているのは、見え透いたことだと思われるのだが、それを笑ってばかりもいられない。ヨーロッパ諸国や、オーストラリアといった白人国家も、最近はトランプに口裏を合わせて、中国の責任を大声で追及するようになってきたのだ。
中東からモロッコにかけて広がる広大なアラブ世界は、16世紀以降オスマン帝国の支配下にあった。オスマン帝国はトルコ人の国家ではあったが、基本的にはイスラーム国家としての色彩が強かったので、イスラームという共通の絆に結ばれる形で、トルコ人とアラブ人とはするどく対立する事態にはならなかった。宗教が前面に出た結果、民族性が薄まっていたといえる。
イスラエル国家の起源はシオニズムにある。シオニズムとは、エルサレムの地にユダヤ人の国家を作ろう、あるいは復活させようという運動である。この運動を組織的に展開したのは、イスラエル国家建設の父と呼ばれているテオドール・ヘルツルである。ヘルツルはオーストリア人であるが、新聞記者としてパリに駐在していた折に、ドレフュース事件を目撃し、大きな衝撃を受けた。ドレフュースは、フランス軍に忠誠を誓っていたユダヤ人だったが、人種差別の犠牲者になるかたちで政治的な迫害を受けた。スパイ容疑で逮捕されたのである。この事件が教訓になって、ヘルツルはユダヤ人国家建設の必要性を広く訴えるようになる。その主張がシオニズムに集約されていくわけである。
イスラエルの建国は1948年のこと。小生が生まれたのもその年であるから、同じ年月を生きてきたわけだ。その小生がイスラエルを強く意識したのは、1967年の第三次中東戦争だ。この戦争は、イスラエル対全アラブ世界の対立という様相を呈したが、イスラエルは破竹の勢いで、わずか六日間で完璧な勝利を収めた。この戦いに勝ったイスラエルは、ヨルダン川西岸、ゴラン高原、シナイ半島を占領し、その結果大量のパレスチナ難民が生まれた。パレスチナ難民は、イスラエル建国の際にも大量に生まれていたわけだが、いまや従来パレスチナであった地域がすべてイスラエルによって占領されたわけで、パレスチナ人は国家のよりどころを失うことになったわけである。
コロナに関して隔離のガイドラインを出す一方、トランプは今の自分を過去の自分から隔離すると発表した。厳密に言えば、過去の自分の発言から、自分自身を隔離する、つまり過去の自分の言動には縛られないということを言いたいらしい。
新型コロナウィルス騒ぎが拡大する一方で、アメリカが最も多い感染者を出すに至った。おそらくその勢いは止まらず、今後感染者と死者の爆発的な増加が予想される。その原因は外でもない、アメリカ大統領のトランプが、この問題を甘く見て、それへの対応を未だに真面目に考えていないことにある。先日もテレビインタビューの中で、4月の12日にはすべてが解決されていると言うような発言をしたが、その根拠を問われると、そうなればいいからだというような、全くのナンセンスを言ってはばからない。そんなわけだから、アメリカはいまや絶望的な状況にあると、まともなメディアはみな深刻に受け止めている。
今回のコロナウィルス騒ぎに対応して、米議会は超党派で2兆ドル(220兆円)にのぼる予算措置を講じた。この騒ぎで損害を被る企業に、保証金をばらまくという内容だ。しかしばらまきの対象には、トランプとその親族等(トランプ一味)が運営する企業は含まないと、わざわざ明記されているそうだ。これはトランプの、強く予想される悪行を予め封じようとする意図に出たものだと、ブルームバーグ等の米大手メディアは報じている。
新型コロナウィルスが世界中に蔓延する事態に発展している。感染者は十万人を超え、また死者は四千人に達したということだ。この事態を前にして、WHOの事務局長はパンデミックが現実味を帯びてきたと言っている。パンデミックの定義はかならずしも明確ではないらしいが、疫病の威力はともかく、世界中広い範囲で起きていることが要件となるようだ。今のコロナウィルスの状況は、その要件を満たしつつあるということらしい。
野球賭博でMLBを永久追放されたピート・ローズについて、トランプが名誉回復のうえ殿堂入りさせるべきだと主張しているというので、アメリカではちょっとした騒ぎになっているそうだ。アメリカではスポーツ選手に高いモラルを求める風潮があり、トランプの主張が通るかどうか、かなり悲観的といってよいようだ。
アメリカ上院によるトランプ弾劾裁判は、トランプへの無罪判決を出してあっけなく終了した。トランプはこれで自分の無実が証明されたといって胸を張っているが、ことはそう簡単なものではない。アメリカでは、裁判でクロがシロになること、つまり有罪があきらかなケースが無罪になることはよくあることで、これもその一例といえるのかもしれない。つまり、法形式的には無罪を勝ち取ったからと言って、不正を働いたという事実は消えないわけで、トランプには胸を張る資格はないといってよい。
民主党の大統領候補Pete Buttigiegのことを、小生は先日のこのブログでブッティジェグと標記したが、その後YouTubeなどで、ブティジェッジと発音されるということを知った。そのブティジェッジが、アイオワで開かれた全米最初の党員投票で、一躍フロント・ランナーに躍り出た。戦前の予想を覆すサプライズとして受け取られているようだが、老人ばかりがどんぐりの背比べをしていた状況が、これで大きく変わる可能性がある。もしかしたらトランプに勝てる候補になるかもしれない。
トランプがパレスチナ問題に関する中東和平案を発表した。発表の場にはイスラエルのネタニアフが同席したが、パレスチナ側は不在だった。その事態が象徴しているように、この和平案なるものは、イスラエルの言い分を一方的に聞いたようなもので、パレスチナ側は全面拒否の姿勢を見せている。たしかに、パレスチナ側の反発は理解できる。この案は、イスラエルによるこれまでの不法な入植をすべて認め、また、エルサレムを全面的にイスラエルに帰属させるなど、イスラエルの無法な占領にお墨付きを与える一方、パレスチナ側には「テロ(抵抗行為のこと)」の自重を促すものだ。要するに、パレスチナはこれまでに積み上げられて来た現実(無法なものだが)をすべて受け入れよと迫るものだ。
憲法改正を含めたプーチンの政治改革案がさまざまな憶測を呼んでいる。この改革案の骨子は、大統領の三選禁止と大統領の権限の制限だ。これが実現すると、プーチンは今後永久に大統領につけなくなる。現憲法では、大統領は連続して二期以上は出来ないとのみされているので、前回もそうだったように、一旦首相についたうえで、あらためて大統領に復帰するシナリオもありえた。それが出来なくなって、プーチンは今後二度と大統領になれなくなるわけだ。それは何を意味するのか、プーチンなりの立憲意識のなせるところか。それともなにか新たなことを企んでいるのか。
世界中を震撼させたウクライナ航空機の爆破は、イラン軍によるものだと明らかになった。アメリカのロケット攻撃と勘違いしたイラン軍が、ミサイルで迎撃したということらしい。それ自体に問題があるが、もっと問題なのは、この事態がイラン軍の実力を物語っているということだ。イラン軍は、イラクの米軍基地にもミサイルを命中させたが、軍事専門家によれば、命中の精度はかなりかなり高かったという。この二つを通じて、イラン軍の実力が、思っていた以上に高いということをアメリカは知らされたに違いない。
カルロス・ゴーンが日本を脱出してレバノンに逃れていたというニュースが入って来た時、大方の日本人は、日本という国がコケにされたと思っただろう。それに加えて、ゴーンが逃亡先で記者会見を開き、自分の無実を弁明したとあって、日本の司法当局は二重にくやしい思いをしただろう。なにしろ完璧に裏をかかれて逃げられ、国の威信を傷つけられたうえに、記者会見まで開いて言いたい放題なのに、自分たちにはなにもできることがないからだ。こんなに面目つぶれのことはない。
トランプの命令で、米軍がイラン軍の将軍を殺害したことで、一気に緊張が高まっている。全面戦争に発展する可能性さえ指摘されている。トランプはこの時期になぜ、このような冒険をしたのか。色々な臆説が流れているが、中には、トランプは自身に対する弾劾裁判から、国民の目をそらせようとして、この挙に及んだとする説もある。小生も、ありうることだと思う。
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