経済学と世界経済

ドイツと日本の財政比較

| コメント(0)
先日、ドイツが46年ぶりに無借金財政に戻ったということが話題になった。いわゆる経済アナリストの中には、これを日本と比較して、何故ドイツではできたことが日本では難しいのか、といった議論をする者もいた。そんなことは、別に経済アナリストたちの世話にならなくとも、わかりきったことだろう。ドイツには、財政が楽になるそれなりの事情が、日本には財政が苦しくなるそれなりの事情があるのだ。

クルーグマンとアベノミクス

| コメント(0)
ポール・クルーグマンがアベノミクスを高く評価していることはよく知られている。アベノミクスとは周知のように、長州人安倍晋三の面目躍如たる三本の矢からなっている。大胆な金融緩和、積極的な財政出動そして成長戦略だ。このうちクルーグマンが評価するのは最初の二本の柱だ。それに対して三本目の柱は、クルーグマンではなく、クルーグマンの敵対者たるサプライサイド・エコノミストたちによって評価されている。ある種のねじれ現象を引き起こしているわけだ。

ポール・クルーグマンの不況の経済学はますますケインズ色を濃くしてきていると、前稿で指摘した。近著「さっさと不況を終わらせろ」(山形浩生訳)では、クルーグマンは不況対策の柱を、金融緩和、財政出動、インフレ誘導に置いた。ところが、今の経済学の主流派を自認する人々は、ことごとくこれとは正反対の考え方をする。金融引き締め(金利の引き上げ)、財政赤字の縮減(政府支出のカット)そしてインフレ不安の解消こそが、経済の健全化をもたらし、不況の克服につながるというのだ。クルーグマンはそう主張する連中をオーステリアン(緊縮論者)と呼んで、その主張のナンセンスぶりを叩くとともに、その主張の影に隠された真の意図について暴露している。

クルーグマンの不況の経済学

| コメント(0)
ポール・クルーグマンは、デフレ不況の克服についてかねてより政策提言を勢力的に行ってきた。その柱は、大胆な金融緩和、政府による積極的な財政出動そして適度なインフレと言うことであった。そしてこの三つの柱の中でも、金融政策に大きなウェートを置いてきた。日本のような巨大な債務を既に抱えてしまっている国では財政出動にもおのずから限界があるのに対し、金融緩和なら財政赤字を気にしないでできるし、またインフレを引き起こす手段としても使える、そんな判断が働いたためだろう。

アメリカの大金持ち

| コメント(0)
ポール・クルーグマンによれば、「2006年に、最高給のヘッジ・ファンドマネージャー25人の稼ぎは併せて140億ドルで、これはニューヨーク市の学校教師八万人全員の給料合計の三倍だ」そうだ(クルーグマン「さっさと不況を終わらせろ」山形浩生訳)。

フランスの経済学者トマ・ピケティの著作「21世紀の資本論」が世界的な反響を呼んでいるそうだ。ポール・クルーグマンなどは「ピケティは我々の経済的論議を一変させた」といって絶賛したようだが、何がそれほどのインパクトを与えるのか。筆者はこの本をまだ読んではいないが、彼自身がこの本の意義について発言しているのを朝日が紹介していたので、それを読みながら、多少のことを考えた次第だ。

140318.crony.jpg

英誌 Economist の最近号が、クローニー・キャピタリズム(Crony Capitalism)なるものについて、興味深い検討を加えている。Our crony-capitalism index Planet Plutocrat Economist

デフレの正体:藻谷浩介氏の日本経済論

| コメント(0)
藻谷浩介氏の著作「デフレの正体」を読んだ。氏は安倍政権の理論的支柱となっているいわゆるリフレ派の経済学者から目の仇にされていることで知られているが、何故彼がリフレ派に憎まれるのか、この本を読むと、その理由がよくわかる。彼は現在の日本経済が陥っている状態を、鳥瞰的な視野からあざやかに描きだしており、それがリフレ派の近視眼的な人々には到底理解できないのだ。彼らは自分の理解不能を棚に上げて、藻谷氏の理論を許すべからざる挑戦だと受け止めているようなのである。

NHKスペシャルの『急増! 新富裕層の実態』という特集番組(8月18日放送)が、グローバル化を背景に登場した新富裕層と言われる階層の、登場の背景やその実態について紹介していた。この番組を見ると、所謂グローバル化の時代における、国民国家と個人との関係について、強く考えさせられる。

マネタリストの主張はある前提の上に成り立っている。金融政策には対称性が成り立つという前提だ。金融を引き締めれば景気の過熱を抑えることはほぼ実証された経験的事実であるが、その逆も成り立つ、つまり金融を緩和すれば、景気は必ず良くなるという主張だ。これは一見理屈に適っているかのように見える。しかし、必ずしもそうはならない。何故なら、金融政策には非対称性があるからだ。

アベノミクスのおかげで株高・円安が実現し、日本経済が俄に活性化したという言説がまかり通っているが、実はそうではない。これらはいずれもアベノミクスとは関係のない現象であり、かりに民主党政権がそのままつづいていたとしても起きていたことだ、と老壮の経済学者伊東光晴氏が断罪している。安倍・黒田の両氏は、実は何もしていない。彼らがいうところのアベノミクスの内実は空虚そのものだというのである。(「世界」8月号)

日頃率直な物言いで知られる経済学者の浜矩子女史が、「アベノミクス」を「アホノミクス」と言い換えて、世間の失笑を買ったのはつい最近のことだが、その折、「アベ」がどんなわけで「アホ」になるのか、得心のいかない人もいたことだろう。そういう人たちのために、女史自らが「アベ」の「アホ」たる所以を解説してくれた本がある。「アベノミクスの真相」と題した本だ。文字の数はそんなに多くないし、わかりやすいときているので、読むには手ごろな本だと思う。
世界を股にかけてビジネスを展開する多国籍企業。彼らにとって最大級の関心事は、いなに税金を少なく支払うかということだ。そのために、様々な工夫をしている。本社をタックス・ヘブンと呼ばれる国や地域に置くなどは、イロハのイだ。

強まるEUへの不信

| コメント(0)

130417.eu-g.jpg

上のグラフ(Eurobarometer をもとにGuardianが作成)は、EU加盟六か国における、EUへの不信の割合を示したものだ。2007年と2012年のデータが示されているが、すべての国でこの5年間に不信の割合が上昇していることが読み取れる。それも単なる上昇ではない、大部分の国では、不信が信頼を大きく上回り、全体の半数以上を占めている。このことは、いまやEUそのものが、存続の危機を感じさせるほどに、各国の民衆から見放されているということを意味する。

アメリカの経済学者者カーメン・ラインハート(Carmen Reinhart)とケネス・ロゴフ(Kenneth Rogoff)が2010年に発表したいわゆる90パーセント理論は、ユーロ圏の経済官僚やアメリカ共和党の武器として重用されてきた。その理論と云うのは、政府の借金がGDPの90パーセントを超えると、その国の経済成長が鈍化するというものだ。それ故、経済成長を長期的に続けていくためには、財政規律を徹底しなければならない、という主張の有力な根拠とされたわけだ。
いわゆるアベノミクスのわからないところのひとつに、一方ではケインズ流の積極財政を正面に掲げる一方、成長のためには規制緩和が必要だといいながら、いままで規制緩和に熱心だった学者たちのうち、市場原理主義者と目されるような連中が大手を振って復活していることだ。この連中はリーマンショックの犯人の片割れだと言われて、一時はエコノミックスの王道から追放されたかにみえたが、どっこいしぶとく生き残りを図っている。

アベノミクスは為替操作か?

| コメント(0)
アベノミクスが一定の効果を現しているらしく、円安株高が進んでいる。特に円安は目覚ましく、安倍政権発足時に70円台後半だったものが、90円を超える水準まで進んだ。円安は当然輸出に有利に働くので、この傾向が定着すれば、日本経済にとって好ましい状況が期待できる。株高とダブルで進めばいうことはない。
ノーベル経済学賞受賞者のポール・クルーグマン教授が、ニューヨーク・タイムズのコラムの中で、いわゆるアベノミクスを積極的に評価している。欧米の先進国が中途半端な経済政策のためになかなか不況から脱出できていないなかで、安倍氏の打ち出した政策には十分な効果が期待できるというのだ。その政策とは、果敢な財政出動とインフレターゲットの組み合わせ。どちらもクルーグマン教授が日頃力説しているものだ。(Japan Steps Out By Paul Krugman)

アベノミクスは日本を取り戻せるか

| コメント(0)
安倍首相が早速打ち出した経済活性化対策が注目を集めている。それどころか、市場がそれに反応して、円安株高の状況まで生じている。果して、アベノミクスと呼ばれている安倍首相の経済政策は、中長期的に機能して、一時的な好景気に終わらず、本格的な日本経済再生につながるのだろうか。

日本国債はいつ暴落するか

| コメント(1)

121216.bond.jpg

NHKスペシャルが特集していた番組「日本国債」を興味深く見た。いまでは磐石の信用力を誇るといわれる日本国債だが、その信用がいつまでも続く保証はない。実際に国・地方合わせた日本の政府部門による借金は1000兆円、そのうち日本国債の割合は700兆円あまり、国の一般会計予算の8年分に達する。こんなに巨額の借金をしている国は、先進国では日本以外どこにもない。

Previous 1  2  3



最近のコメント

アーカイブ